FX5とFX3、何が変わった?Cinema Line新機種を商品PV視点で比較

2026.8.2
FX5とFX3、何が変わった?Cinema Line新機種を商品PV視点で比較

FX5は自社に必要なのか、結論から言うと「内部RAWとオープンゲート撮影を日常的に使うかどうか」が判断の分かれ目です。FX3との違いを押さえずに導入すると、宝の持ち腐れになりかねません。2026年8月21日発売のこの新機種を、広告・商品撮影の現場視点で整理していきます。

FX5とは?Cinema Line新機種の位置づけ

FX5とは?Cinema Line新機種の位置づけ

FX5は、既存のFX3とFX6の間を埋めるアッパーミドル機として2026年8月21日に発売されるCinema Lineの新機種です。価格は本体のみで81万円台からとなります。

「また新しいFXが出たのか」と思った方もいるはずです。実際、Cinema Lineはここ数年でラインナップが増え続けており、どれを選べばいいのか分かりにくくなっているという声を現場でもよく聞きます。

FX5の立ち位置は比較的シンプルです。同じフルサイズセンサーを搭載するFX6とFX3の間に位置する機種として登場し、FX3Aは併売が続きます。つまり、「FX3では物足りないが、FX6ほどの本格機材までは要らない」という制作会社にとって、ちょうど間を埋める選択肢という位置づけになります。 

発表は2026年7月22日、発売は同年8月21日です。価格は本体のみで81万2,900円、32bitフロート音声対応のXLRハンドルユニット同梱モデルで90万900円と、既存のFX3よりも一段高い価格帯に設定されています。

FX5とFX3、スペックは何が変わったのか

FX5とFX3、スペックは何が変わったのか

FX5はセンサー・画像処理エンジン・記録フォーマットのすべてでFX3を上回ります。特に内部RAW収録とオープンゲート撮影は、FX3にはなかった新機能です。

FX3ユーザーが気になるのは、やはり「何が具体的に進化したのか」でしょう。ここでは3つの観点に分けて整理します。

センサーと画像処理エンジンの進化

FX5は新開発の有効約1660万画素フルサイズ積層型Exmor RSセンサーと、AI処理機能を統合した画像処理エンジンBIONZ XR2を搭載しています。S-Log3撮影時には15+ストップのワイドラチチュード(明暗差を捉えられる範囲のこと)を実現し、ISO 800・4000・12800という3つのベースISOを状況に応じて選べます。日中の階調重視の撮影と、暗所での高感度撮影を、1台で無理なく使い分けられるようになったという変化です。

内部RAW収録とオープンゲート撮影という新機能

これがFX5の目玉と言っていいでしょう。FXシリーズとして初めて、アスペクト比3:2でのイメージセンサー全面読み出し(オープンゲート撮影)に対応し、ソニー独自の16bitシーンリニアRAWフォーマットであるX-OCNを、外部レコーダーなしでカメラ本体に内部収録できるようになりました。

FX3では、これに相当する収録をしようとすると外部レコーダーの追加が必須でした。FX3では外部収録できなかったもどかしさが、FX5では解消された形です。編集時にクロップやアスペクト比変更の自由度が上がる、という実務的なメリットにつながります。

手ブレ補正・端子拡張などボディ面の変化

手ブレ補正機構も進化しており、ロール方向の補正範囲がFX3比で最大約2倍に拡大されました。インターフェース面でも、新たにLAN端子やタイムコード入力用のUSB Type-C端子が追加され、業務用途での拡張性が大幅に向上しています。

ただし、良いことばかりではありません。FX5は静止画撮影機能が完全になくなっており、動画専用機としての性格がFX3よりもさらに強まっている点は、乗り換えを検討する際に押さえておくべきでしょう。

広告・商品撮影の現場で、FX5の進化はどう活きるのか

広告・商品撮影の現場で、FX5の進化はどう活きるのか

内部RAW収録とオープンゲート撮影は、商品PVの縦横比変更や高解像度なディテールカットの切り出しを、撮影後の編集段階で自由に行えるようにします。

広告・商品撮影の現場目線で見ると、FX5の進化で一番効いてくるのは「撮影後の自由度」でしょう。

たとえば1本の商品PVを、YouTube用の横型、SNS用の縦型、ディスプレイ広告用の正方形と、複数の比率で展開したいという依頼は珍しくありません。従来は、撮影段階でどの比率を優先するかをある程度決め打ちする必要がありました。実際に撮影現場でも、「後から縦型も欲しいと言われたが、横型でしか撮っていなかった」という事故は少なからずあったものです。

オープンゲート撮影であれば、センサー全面で記録した映像から、後工程で必要な比率を切り出せます。あらかじめすべての比率を決め打ちしなくてよくなる、というのは制作フローの安心感につながるはずです。

  • 縦横比の異なる複数媒体展開:1回の撮影で横型・縦型・正方形すべてに対応しやすくなる
  • 内部RAW収録:外部レコーダーなしで高画質な編集素材を確保できる、機材構成のシンプル化
  • 高感度撮影の余地:ISO 12800までのベースISOにより、暗所での商品撮影・雰囲気カットの選択肢が広がる

もちろん、これらの恩恵を受けるには、編集側もRAWワークフローに対応できる体制が必要になります。撮影側だけが進化しても、後工程が追いつかなければ宝の持ち腐れになりかねない、という点は意識しておきたいところです。

FX5は自社で導入すべきか?判断基準となる3つの視点

FX5は自社で導入すべきか?判断基準となる3つの視点

FX5導入の判断は「撮影頻度」「RAW運用体制」「静止画機能の要否」の3点で決まります。どれか1つでも当てはまらなければ、外注も選択肢になります。

80万円を超える機材投資は、決して軽い判断ではありません。ここでは、導入を検討する際に確認すべき3つの視点を整理します。

撮影頻度とコスト回収の見込み

月に何本の商品PV・広告映像を撮影する予定か、まずここを具体的に数字で出してみてください。撮影頻度が高い制作会社であれば、外注コストとの比較で数ヶ月〜1年程度での投資回収が見えてくるはずです。逆に、年に数本程度の依頼であれば、機材の減価償却期間の方が長くなり、投資効果が見えにくくなります。

内部RAW運用に必要なワークフロー

X-OCNでの内部RAW収録は魅力的ですが、収録したデータを扱うには、編集側のPCスペックやストレージ容量も相応に必要になります。撮影機材だけを新しくしても、編集環境が追いつかなければ、宝の持ち腐れになってしまうでしょう。導入前に、自社の編集ワークフローがRAW素材に対応できるかを確認しておくことをおすすめします。

静止画撮影ができなくなる点の影響

FX5は静止画撮影機能が完全になくなっています。もしFX3を「動画がメインだが、たまに簡単な静止画も撮る」という使い方をしていた場合、この点は乗り換えにあたって見落とされがちな注意点です。静止画も必要な現場では、別途スチルカメラの併用を前提に検討する必要があります。

導入前に確認しておきたい注意点

導入前に確認しておきたい注意点

FX5には電子式可変NDフィルターが搭載されておらず、ソフトウェアによる一部機能拡張は2027年以降に予定されています。発売直後の導入は、これらの制約を踏まえて判断してください。

FX5は完成度の高い機種ですが、いくつか押さえておくべき制約もあります。

ボディサイズが小型であるため、FX6やBURANOに搭載されている電子式可変NDフィルターは物理的に搭載されていません。屋外での明るさ調整は、従来同様に外付けNDフィルターでの対応が必要になります。

また、5K120fpsや4K240fpsといった一部のハイフレームレート撮影機能、縦レイアウトでの撮影情報表示などは、2027年以降に予定されているソフトウェアアップデートでの対応となる見込みです。発売直後に導入する場合は、「今使える機能」と「将来のアップデートで使えるようになる機能」を分けて把握しておくと、期待とのギャップを防げます。

機材投資と外注、商品PV制作はどちらが合理的か

機材投資と外注、商品PV制作はどちらが合理的か

FX5クラスの機材投資が見合わない撮影頻度であれば、最新機材を扱う制作会社への外注が現実的な選択肢になります。

ここまで整理してきた判断基準を踏まえると、多くの制作会社・EC担当者にとっての本質的な問いは「FX5を買うかどうか」ではなく、「その撮影頻度・用途に、80万円超の投資が見合うかどうか」でしょう。

撮影頻度が低い、あるいはスポットで質の高い商品PVが必要という場合は、最新機材とノウハウを持つ制作会社に依頼する方が、トータルでは合理的なケースも多いはずです。自社で機材を抱えず、必要な時に必要な分だけ最新の撮影環境を使えるという点は、外注の分かりやすいメリットと言えます。

  • 撮影頻度が高く、内部RAWワークフローも整備できる→自社導入でコスト回収が見込める
  • 撮影頻度が低い、または編集体制がまだ整っていない→外注で最新機材のメリットだけを享受する

私たちも、商品PVや広告映像の撮影を用途に応じてご相談いただける体制を整えています。機材を揃えるべきか迷った際は、まず「どんな映像を、どれくらいの頻度で必要としているか」を整理したうえで、一度相談してみるのも一つの手でしょう。

FX5に関するよくある質問

Q1. FX5とFX3、どちらを買うべきですか?
内部RAW収録やオープンゲート撮影を活用する予定がなければ、FX3(A)でも十分なケースは多くあります。用途と撮影頻度で判断することをおすすめします。

Q2. FX5で静止画は撮れませんか?
静止画撮影機能は搭載されていません。静止画も必要な現場では、別途スチルカメラとの併用を検討してください。

Q3. FX5の発売日と価格を教えてください。
2026年8月21日発売で、価格は本体のみが81万2,900円、XLRハンドルユニット同梱モデルが90万900円です(いずれも税込)。

Q4. FX5はFX6の代わりになりますか?
FX5はFX3とFX6の間に位置する機種であり、上位機種であるFX6の全機能を代替するものではありません。用途に応じた比較が必要です。

FX5は「買うか」より「何を撮りたいか」で判断する

FX5は「買うか」より「何を撮りたいか」で判断する

FX5は、内部RAW収録とオープンゲート撮影という、FX3にはなかった機能をコンパクトなボディに詰め込んだ意欲的な機種です。ただし、その進化を活かせるかどうかは、撮影頻度と編集ワークフロー次第という側面があります。

導入を検討する際は、スペックの魅力だけで判断せず、「自社の撮影頻度でコストが見合うか」「RAW運用の体制が整っているか」という視点で一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。

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