春物ECの色ズレ撲滅!パステル色がグレーになる原因とプロの解決策
目次
こんにちは、株式会社ピックアパートメントのカメラマン、篠原です。
もうすぐ春物のシーズンですね。EC担当の方や生産管理の方にとって、一年で一番「色」に神経を使う時期ではないでしょうか。 特にパステルカラー。淡いピンクやミントグリーンが、モニターを通すとどうしても濁って見える、グレーっぽく沈んでしまう。
「カメラの設定を変えても直らない」 「実物が届いたお客様から『色が違う』とクレームが来る」
その悩み、痛いほど分かります。 これ、実はカメラの性能や設定の問題ではありません。もっと根本的な「光の物理的な性質」が原因なんです。
今日は、なぜ春物の色がズレるのかというメカニズムと、それをプロがどうやってねじ伏せているのか、現場の裏側を包み隠さずお話しします。
「カメラの設定」ではなく「光の質」が犯人です

先に答えを言いますね。 パステルカラーの春服がグレーっぽく写ってしまう原因、それは撮影している場所の照明(蛍光灯や一般的なLED)の演色性が低いからです。
カメラのホワイトバランスをどれだけ調整しても、露出(明るさ)を上げても、色が濁るのはなぜか。それは、その光の中に「その色を表現するための波長が含まれていないから」です。
ないものは、写りません。 これは料理に例えると分かりやすいです。塩を入れていないスープを、いくら高級なスプーン(カメラ)ですくっても、塩味はしませんよね?それと同じです。光の中に「成分」が足りていないのです。
なぜ蛍光灯だとパステルカラーが死ぬのか?(演色性の罠)

人間の目とカメラセンサーの決定的な違い
人間の目というのは本当によくできていて、脳内で勝手に色補正を行います。少々照明が悪くても「これはピンク色のニットだ」と脳が認識すれば、ピンクに見せてくれます。
でも、カメラは正直です。物理的にそこにある光の情報だけを記録します。 社内の会議室や倉庫の一角で撮影していませんか? 一般的なオフィスの蛍光灯は、緑色の成分が極端に強く、赤や水色の成分が極端に少ないという特徴があります。
蛍光灯のスペクトルは「欠けた櫛(くし)」のようなもの
太陽光や、我々プロが使う撮影用ストロボは、虹の七色が滑らかにつながった「連続スペクトル」を持っています。 一方で、一般的な蛍光灯や安価なLED照明は、特定の波長だけが突出していて、それ以外がスッポリ抜け落ちている「不連続スペクトル」なんです。
特に春物のパステルカラーは、色素が薄く繊細です。 例えば「サクラピンク」を綺麗に写すには、繊細な赤やマゼンタの波長が必要です。しかし、蛍光灯にはその成分がほとんど含まれていません。 結果として、カメラは反射してこない色を捉えることができず、情報量の少ない「グレー(無彩色)」として記録してしまうのです。これが、色ズレの正体です。
「実物通りの色」を出すための物理的な解決策

では、どうすればいいのか。正直、カメラの設定だけでは限界があります。物理的に環境を変えるしかありません。
演色評価数(Ra)95以上の光源を使う
まず、照明機材を変える必要があります。 照明のスペック表に「Ra(平均演色評価数)」という数値があるのをご存知でしょうか?これが太陽光を100とした時の数値です。 一般的な蛍光灯はRa60〜70程度。これでは色は出ません。 商品撮影をするなら、最低でもRa90以上、できればRa95以上の高演色LEDやストロボが必要です。これらはプロ用機材なので、導入コストはそれなりにかかります。しかし、これがないとスタートラインにすら立てません。
カラーチェッカーで「色の基準」を強制補正する
照明を変えても、カメラメーカーごとの「色のクセ(絵作り)」があります。キヤノンは肌色がきれい、ニコンは忠実、ソニーは黄色被りしやすい、などです。 これを統一するために、我々は「カラーチェッカー(マクベスチャート)」という色見本を商品の横に置いてテスト撮影します。
撮影後、専用ソフト(LightroomやCapture Oneなど)でそのチャートを読み込み、「このグレーは数値上こうあるべき」「この赤はこの数値」というプロファイルを生成し、全体の色を強制的に補正します。 ここまでやって初めて、ECサイト上で「正しい色」が表示されるのです。
盲点になりがちな「モニター環境」の落とし穴

あなたのそのモニター、正しい色が出ていますか?
撮影データをチェックしているそのパソコンの画面、最後にキャリブレーション(色調整)したのはいつですか? 実は、一般的な事務用ノートPCやモニターは、青白く設定されていることが多く、正しい色を表示できていません。
「自分の画面では完璧なピンクに見えていたのに、スマホで見たらくすんでいた」 これはよくある悲劇です。 我々プロは、定期的にハードウェアキャリブレーションを行った、色域(sRGB/AdobeRGB)をカバーする専用モニターで作業しています。担当者様の画面と、エンドユーザーのスマホ画面、その平均値を狙って調整する技術も必要になります。
色ズレによる「返品コスト」と「撮影コスト」の天秤

ここまで読んで、「機材を揃えて、カラーマネジメントを勉強するのは大変そうだな……」と思われたかもしれません。 正直に申し上げますと、その感覚は正しいです。
撮影の内製化が「見えない赤字」を生む瞬間
「イメージ違い」による返品は、単に売上が消えるだけではありません。 往復の送料、検品作業、再梱包、在庫計上の手間。これら全ての「見えないコスト」が利益を圧迫します。 さらに、「あそこのブランドは写真と色が全然違う」という口コミは、ブランドの信頼を静かに、しかし確実に削っていきます。
社内でスタッフが半日かけて撮影し、色が合わずに悩み、結果として返品が増える。 これなら、最初からプロに依頼して「正しい色」を一発で納品してもらう方が、トータルコストで見れば安くなるケースが非常に多いのです。
私たちがお手伝いできること

私たちは、ただシャッターを切るだけのカメラマン集団ではありません。お客様のビジネスを加速させるためのパートナーです。 御社の課題に合わせて、2つの撮影サービスをご用意しています。
正確な色再現とスペック重視なら「物撮り.jp」

「とにかく、カタログスペック通りに、正確な色とディテールを見せたい」 「SKU数が多くて、一点あたりのコストを抑えたい」
そんな時は、「物撮り.jp」にお任せください。 高演色のストロボ環境と厳密なカラーマネジメントワークフローで、春物の繊細なパステルカラーも、生地の質感も、実物そのままに再現します。 白背景の基本的な商品写真が必要なら、迷わずこちらです。スピードと品質のバランスには自信があります。
ブランドの世界観を作り込むなら「フォトル」

「ただの商品説明ではなく、春のウキウキするような空気感も伝えたい」 「InstagramなどのSNSで、指が止まるような写真が欲しい」
そんな時は、「フォトル」をご検討ください。 こちらは、スタイリングを含めた「世界観」を作り込む撮影サービスです。 例えば、春の日差しを感じさせるライティングを作ったり、小物を配置して利用シーンを想像させたり。 ブランドのメッセージを写真に乗せて、お客様の購買意欲を刺激します。
【まとめ】
- 原因: パステルカラーの色ズレは、カメラではなく「蛍光灯の演色性不足」が主な原因。
- 対策: Ra95以上の照明機材と、カラーチェッカーによる厳密な色管理が必須。
- 盲点: モニター自体が正しい色を表示していないと、調整作業そのものが無意味になる。
- 経営視点: 社内撮影の苦労と返品リスクを抱えるより、プロに依頼して「色ズレ返品」をゼロに近づける方が合理的。
- 解決策: 正確さなら「物撮り.jp」、世界観なら「フォトル」。
色は、ECにおける「信頼」そのものです。 春物の立ち上がり、大切な商品を最高の色でお客様に届けましょう。いつでもご相談ください。

