スニーカーの「顔」が決まらないあなたへ。角度の正解と、素材を殺すライティングの罠

2026.2.16
スニーカーの「顔」が決まらないあなたへ。角度の正解と、素材を殺すライティングの罠

「ナナメ45度」が正解ではない。レンズの「高さ」が全てを決める

「ナナメ45度」が正解ではない。レンズの「高さ」が全てを決める

まず、結論から申し上げます。 スニーカーの撮影において、皆さんが気にしている「水平方向の角度(回転)」よりも、圧倒的に重要なのが「垂直方向の角度(高さ)」です。

よくある失敗が、机の上に靴を置き、自分が立ったままスマホやカメラで見下ろして撮るパターン。 これ、絶対にやってはいけません。 人間の目は、普段足元にある靴を「見下ろす」ことに慣れています。しかし、写真としてモニター上で見る場合、見下ろしたスニーカーは寸詰まりで、非常に不格好に見えます。アッパー(甲)の部分ばかりが広く写り、肝心のサイドのデザインやソールの厚みが潰れてしまうからです。

プロが撮る「スニーカーの顔」の位置。 それは、「カメラのレンズ中心を、スニーカーの履き口の高さまで下げる」こと。ここがスタートラインです。 いわゆる「アイレベル」を靴の高さに合わせるのです。

こうすることで初めて、ソールから履き口までの立ち上がりが垂直に描写され、スニーカーが持つ本来のボリューム感が出ます。 その上で、つま先を左斜め前に向けるのですが、ここでも「7:3」の黄金比を意識します。 サイドのデザイン(Nマークやスウッシュなど)が完全に見えつつ、ヒールの丸みがわずかに覗く角度。 これが、スニーカーが最も立体的に、かつスタイリッシュに見える「顔」です。

素材の壁①:メッシュ素材が「ただの布」に見える物理的理由

角度が決まったら、次はライティングです。ここからが本当の勝負。 特に、ランニングシューズやハイテクスニーカーに多い「メッシュ素材」。 これが撮影において最も厄介な敵の一つです。

「明るく綺麗に撮ろう」として、全体に均一な光を当てていませんか? 実はそれが、メッシュの質感を殺す一番の原因です。 メッシュとは、微細な「穴」の集合体です。この穴の凹凸を表現するには、「影」が必要です。 正面からフラットな光を当てると、穴の中にまで光が入り込み、影が消滅します。結果、凹凸のない、のっぺりとしたプリント柄のような質感になってしまうのです。

この問題を解決するには、「硬い光(ハードライト)」を「真横(サイド)」から当てる必要があります。 ディフューザー(光を拡散させる布)を使わず、ライトを直接、あるいはハニカムグリッドをつけて指向性を高め、スニーカーの表面を「こする」ように横から光を走らせます。 そうすると、メッシュの一粒一粒の「山の部分」は明るく、「谷の部分(穴)」には濃い影が落ちます。 このミクロな明暗のコントラストこそが、人間の脳に「あ、これは通気性の良いメッシュだ」と認識させるのです。

素材の壁②:レザーの高級感は「写り込み」で作られる

一方で、レザー(本革・合皮)やエナメル素材のスニーカーは、メッシュとは真逆のアプローチが必要です。 レザーは表面が滑らかで、光を反射します。つまり「鏡」に近い性質を持っています。 ここに、先ほどのような裸のライトを当てるとどうなるか? 表面に白く小さな「点」がギラッと光り、それ以外の部分は真っ暗。非常に安っぽく、傷んでいるようにも見えてしまいます。

レザーの艶(ツヤ)や高級感を出すために必要なのは、「光そのものを写し込ませる」という技術です。 私たちは、ライトの前に大きなトレーシングペーパーや、乳白色のアクリル板を置きます。 こうすることで、点だった光源が、大きな「面」の光に変わります。

この大きな面の光を、レザーの側面のカーブに合わせて配置します。 すると、スニーカーの局面に沿って、美しい「光のグラデーション(ハイライトの帯)」がヌルっと入ります。 このハイライトの帯が、レザーの滑らかさと曲線を強調し、「触りたくなるような質感」を生み出すのです。 黒いレザーのスニーカーなどは、光を当てるというより、この「ハイライトを描く」作業が撮影の9割を占めると言っても過言ではありません。

なぜ、社内撮影(DIY)では「歪み」から逃れられないのか

なぜ、社内撮影(DIY)では「歪み」から逃れられないのか

「理屈はわかった。じゃあ社内でやってみよう」 そう思われるかもしれませんが、ここにもう一つ、機材の壁が立ちはだかります。 それは「レンズの焦点距離」です。

スマホのカメラや、一般的なデジカメの標準ズームレンズは、実はかなり「広角」気味に作られています。 広角レンズは、近くのものを大きく、遠くのものを小さく写す特性(パースペクティブ)が強烈です。 スニーカーに寄って撮影すると、手前のつま先だけが異常にデカく写り、かかとが極端に小さく写る「魚眼レンズ」のような歪みが発生します。 これでは、デザイナーがミリ単位で調整したシルエットが台無しです。

私たちプロは、スニーカー撮影には必ず「中望遠レンズ(フルサイズ換算で50mm〜85mm、あるいは100mm)」を使用します。 中望遠レンズを使い、被写体から2〜3メートル離れてズームで切り取る。 こうすることで、パースペクティブの影響を排除し、肉眼で見たままの、あるいはそれ以上に端正なシルエットを再現できるのです。 この「距離を取って望遠で抜く」という環境は、一般的なオフィスの会議室などでは物理的にスペースが足りず、再現が難しいのが現実です。

「撮る」時間を「選ぶ」時間へ。プロに任せる経営的合理性

ここまで、アングル、光の質、レンズの焦点距離についてお話ししました。 これらを全て理解し、機材を揃え、さらに靴紐を美しく結ぶ(これも職人芸です)技術を習得するには、正直なところ膨大な時間とコストがかかります。

あなたたちMDやバイヤーの最大のミッションは何でしょうか? それは「売れる商品を仕入れること」であり、「市場の動向を読むこと」はずです。 慣れないライティング機材と格闘し、半日かけて数カットの写真を撮る時間は、経営的な視点で見れば大きな損失と言わざるを得ません。

「餅は餅屋」という言葉がありますが、撮影という「作業」は私たちプロに任せ、皆さんはその浮いた時間で、次のヒット商品を探すリサーチや、販売戦略の立案に時間を割いてください。 それが、結果として売上を最大化する最短ルートです。

用途で使い分ける、賢いアウトソーシング戦略

用途で使い分ける、賢いアウトソーシング戦略

株式会社ピックアパートメントでは、御社の状況や目的に合わせて、最適な2つの撮影サービスを用意しています。

■ 物撮り.jp (https://butsu.jp/)

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「新作が一度に50足入荷した」「ECモールのカタログ用に、白背景で細部まで見せたい」 そんな時は、こちらをご利用ください。

  • カタログ特化: スニーカーの形状を正確に捉え、色味も現物に限りなく忠実に再現します。
  • 圧倒的効率: マニュアル化されたライティング技術により、大量のSKUもスピーディーに撮影。
  • 素材対応: メッシュ、スエード、レザー、それぞれの素材に合わせた最適なライティングセットを瞬時に組み替えます。
  • コストメリット: 1カットあたりの単価を抑え、SKU数の多いシューズ業界の予算感にフィットさせます。

「まずは商品情報を正しく、綺麗に伝えたい」というニーズには、物撮り.jpが最強のパートナーになります。

■ フォトル (https://photoru.net/)

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「ブランドのキービジュアルを作りたい」「Instagramで流れてきた瞬間に指を止めさせたい」 そんな時は、こちらです。

  • 世界観の構築: ただ商品を撮るのではなく、背景紙、小道具、床材(コンクリートやウッドなど)をスタイリングし、「その靴を履いて出かけるシーン」を想起させます。
  • モデル撮影: 足元の着用イメージだけでなく、全身のコーディネートを含めた撮影で、サイズ感やスタイリングの提案まで行います。
  • リッチな質感: 時間をかけて一足と向き合い、レザーのハイライト一つ、靴紐の曲線一つにまでこだわった、広告クオリティの一枚を仕上げます。

【まとめ】

  1. アングルは高さ: 見下ろすな。カメラを靴の高さまで下げて「対等」に向き合う。
  2. メッシュは影: 柔らかい光はNG。硬いサイド光で凹凸を彫り込む。
  3. レザーは反射: ライトを当てるな。ディフューザー越しの「光の帯」を写し込む。
  4. レンズは望遠: スマホの広角は歪む。離れて望遠で撮ることで形を整える。
  5. 選択と集中: 撮影の泥沼から脱出し、MDとしてのコア業務に時間を注ぐ。

スニーカーは、機能性という「スペック」と、ファッションという「ロマン」が同居する商材です。 その両方を一枚の写真に凝縮するには、それ相応の技術と経験が必要です。

あなたのバイイングした最高の一足が、画面の中で「のっぺり」したまま埋もれていくのは、いち写真好きとしても見るに耐えません。 その一足が持つポテンシャル、私たちに引き出させてくれませんか? 確実なクオリティと、ビジネスを加速させるスピードで、篠原がお待ちしています。

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