自社撮影の限界はどこ?外注切替のタイミングと損益分岐点をプロが解説
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「カメラの性能も上がったし、最初は自分たちで撮ろう」 そう考えてスタートしたものの、気づけば深夜まで商品と格闘し、パソコンの画面とにらめっこしていませんか?
あるいは、苦労してアップした商品画像の反応がいまいちで、何が悪いのか分からず頭を抱えているかもしれません。
現場で多くの企業担当者様と話してきましたが、皆さん同じ道を通ります。 結論から申し上げます。もしあなたが経営者、あるいは事業責任者で、ご自身でカメラを握っているなら、今すぐその手を止めてください。それが外注すべき最初のタイミングです。
なぜなら、商品撮影における「プロへの依頼」は、単なるクオリティアップではありません。経営における「時間の買取」であり、本業への集中が生む利益を最大化するための戦略だからです。
今日は、曖昧な精神論ではなく、物理的な照明技術とコスト計算の観点から、「いつ外注に切り替えるべきか」を明確にお話しします。
内製化の限界を感じる「3つの兆候」と技術的壁

「なんとなく暗い」「実物と色が違う」。 この悩み、実はカメラの設定を変えるだけでは解決しません。多くの場合、原因は「光の物理法則」を無視していることにあります。
自社撮影(内製化)に限界が来ている明確なサインは以下の3つです。
1. 「白背景」がグレーになる、または商品が浮いて見える
ECモールで必須とされる「完全な白背景(RGB: 255,255,255)」。 これを実現しようとして、部屋の電気を明るくしたり、背景紙を照らしたりしていませんか?
実はこれ、逆効果になることが多いんです。 商品を明るく見せようと前から光を当てすぎると、商品の輪郭が飛び、立体感が消えます。プロは、メインの光とは別に、背景だけを飛ばすための専用ライトや、商品の輪郭を黒く締めるための「黒レフ」を使用します。
例えば、白い陶器を白い背景で撮る場合。 私たちは、商品のエッジ(輪郭)にわずかな影を落とすために、あえて光を遮る板を配置します。この「引き算のライティング」は、専用のスタジオ環境がないと再現が非常に困難です。画像編集ソフトで無理やり背景を白く飛ばして、商品の縁がギザギザになっている写真を見かけますが、これは「品質が悪い」と無言で宣伝しているようなものです。
2. 色が合わない(カラーマネジメントの罠)
「画面で見ると綺麗なのに、届いた商品と色が違う」というクレーム。 これは、撮影環境の光源に含まれる「演色性(Ra)」の問題であることが大半です。
一般的なオフィスの蛍光灯やLEDは、実は緑や青の波長が強く、赤色の再現性が著しく低い場合があります。人間の目は脳内で色を補正しますが、カメラは正直です。このズレを直そうと、色味の調整に何時間も費やすのはナンセンス。
私たちは、演色評価数(Ra)95以上の、太陽光に限りなく近い特殊なストロボを使用し、さらに「カラーチェッカー」という基準となる色見本を同時に撮影して、数値ベースで色の正解を導き出します。この環境を社内に作ろうとすると、機材だけで数十万円が飛びます。
3. 反射物(ガラス・金属・パッケージ)への映り込み
ツルッとした化粧品のボトルや、スマホのケース。 撮影した画像を拡大してみてください。カメラを構えているあなたの姿や、オフィスの天井、蛍光灯が映り込んでいませんか?
これを消すには、トレーシングペーパーで光を柔らかく包み込むだけでなく、黒い布でカメラマン自身や周囲の情報を隠す「暗幕処理」が必要です。商品以外の情報を物理的に遮断するスペースがない限り、反射物の撮影を自社で完璧に行うのは不可能です。
コスト対効果の分岐点:外注費 vs 社内人件費

「外注は高い」と思っていませんか? 実は、社内でやるほうがコスト高になっているケースがほとんどです。
その1時間、本業に使えばいくら稼げますか?
単純計算してみましょう。 例えば、自社で撮影を行うスタッフ(またはあなた)の時給換算が2,500円だとします。 機材のセッティング、撮影、画像データの取り込み、色調整、リサイズ、ゴミ取り。1商品の撮影からデータ完成まで、慣れていない人がやれば最低でも30分、こだわり始めれば1時間はかかります。
つまり、1商品あたり2,500円のコストです。 しかも、その時間は「売上を作るための営業活動」や「新商品開発」がストップしています。
一方、プロの撮影サービスなら、1カット数百円〜数千円で済みます。 さらに、私たちが撮影すれば、1時間で30〜50カット撮ることも珍しくありません。この圧倒的な「生産性の差」こそが、外注最大のメリットです。
月間SKU数による判断基準
具体的な数字で言えば、「月間の新規撮影が10SKU」を超えたら、迷わず外注を検討すべきです。 10SKUあれば、カット数は30〜50枚になります。これを内製でおこなえば丸2日は潰れます。月に2日、メイン業務が止まる損失を考えてみてください。
失敗しない撮影業者の選び方【現場目線】

いざ依頼しようと思っても、世の中には多くの撮影代行会社があります。 どこを選べばいいか。HPの「綺麗な事例」だけを見てはいけません。あれは最高傑作を載せているだけですから。
見るべきポイントは「ワークフロー(進行管理)の明確さ」です。
1. 指示書のテンプレートがあるか
「いい感じに撮ってください」はトラブルの元です。 正面の定義は? ラベルの向きは? 影の濃さは? これらを細かくヒアリングしてくれる、あるいは記入しやすい「指示書フォーマット」を用意している業者は信頼できます。事前のすり合わせをサボらない業者は、納品データの事故も少ないです。
2. ファイル名のルールに対応してくれるか
地味ですが重要です。 納品されたファイル名が「DSC0001.jpg」のままだと、その後に自社の品番にリネームする手間が発生します。「品番_カット番号.jpg」など、こちらの指定ルールで納品してくれるか確認してください。ここに対応できる業者は、ECの現場をよく理解しています。
貴社の状況に合わせた最適な「プロの使い分け」

最後に、私が所属する株式会社ピックアパートメントのサービスを例に、目的別の使い分けをご提案します。 私たちは「とにかく安く」ではなく、「目的に合わせた最適解」を提供することをポリシーとしています。
1. カタログスペック重視・大量撮影なら「物撮り.jp」

もしあなたの課題が以下のいずれかなら、「物撮り.jp」 が最適解です。
- ECモール(Amazon、楽天など)に出すための、白背景画像が大量に必要。
- 商品の色や形状を、嘘偽りなく正確に伝えたい。
- 1カットあたりの単価を抑えつつ、スピーディーに納品してほしい。
こちらは、徹底的に効率化されたスタジオで撮影を行います。 固定されたライティングではなく、商品一つひとつの素材(マット、光沢、クリアなど)に合わせて、専任カメラマンが照明を組み替えます。
「安かろう悪かろう」ではありません。マニュアル化できる部分と、職人の目がご必要な部分を分け、無駄な工程を省いているからこその価格設定です。指示書さえいただければ、商品を箱に詰めて送るだけ。戻ってきた時には、完璧にリサイズ・調整されたデータが手に入ります。
2. ブランドイメージ・SNS訴求なら「フォトル」

一方で、以下のようなニーズがあるなら、「フォトル」 をご検討ください。
- InstagramなどのSNSで、ユーザーの指を止めさせたい。
- 商品が実際に使われている「利用シーン」を想起させたい。
- ブランドの世界観を表現するスタイリングや、小道具を使った演出が必要。
こちらは、単にモノを撮るのではなく「空気感」を撮るサービスです。 例えば、朝食用のシリアルなら、朝日を模した硬めの光をサイドから当て、フレッシュなフルーツやリネンを配置して、朝の爽やかな食卓を演出します。 夜用のスキンケア商品なら、光量を落とし、ラグジュアリーな質感の背景材を使って、高級感とリラックス感を演出します。
専属のスタイリストがつき、あなたの頭の中にあるイメージを具体的なビジュアルへと変換します。これは、スペックを伝える写真ではなく、「欲しい」という感情を喚起させるための写真です。
写真は、お客様が商品に触れる最初の接点です。 そこで「素人感」が出てしまえば、商品自体の品質まで疑われてしまいます。
自社で悩みながらシャッターを切る時間は、もう終わりにしましょう。 餅は餅屋、写真は写真屋。 浮いた時間で、あなたは経営者として、もっと大きな決断に時間を使ってください。 私たちプロは、そのための「武器」として、最高の画像を用意してお待ちしています。

