プロが解決!冬の定番「コート」の難しい商品撮影をたった3つのコツで克服する方法

冬の定番アパレルであるコートの商品撮影で、質感が伝わらず悩んでいませんか?
そのお悩みを解決する最も効果的な方法は、照明を「半逆光」の位置から当てることです。
これにより、ウールやカシミヤなどの繊細な素材の質感が劇的に浮かび上がり、プロが撮影したような立体的で高級感のある写真に仕上がります。
この記事では、多くのEC事業者様が苦戦するコートの商品撮影について、物撮り専門サービス「物撮り.jp」のプロカメラマンが、具体的な撮影テクニックからスタイリングの裏技まで、実践的なノウハウを徹底解説します。
なぜコートの商品撮影はこれほど難しいのか?
そもそも、なぜコートの撮影は難しいのでしょうか。
私たちは日々、様々なアパレルブランド様からコート撮影のご依頼を受けますが、その多くが共通の課題を抱えています。その原因は、主に以下の3点に集約されます。
理由1:素材の持つ本来の質感が伝わらない
コートの価値を大きく左右するのは、ウール、カシミヤ、ツイード、ダウンといった「素材感」です。
しかし、スマートフォンや一般的な照明機材で正面から光を当てて撮影すると、光が均一に回りすぎてしまい、生地の繊細な凹凸や毛並みが消えてしまいます。結果として、実物は高級感があるのに、写真では安っぽい「のっぺり」とした印象になってしまうのです。
理由2:立体感が出せず、平面的に見えてしまう
コートは大きく、面積も広いため、ハンガーに吊るしただけ、あるいは床に置いただけ(平置き)の撮影では、美しいシルエットを表現するのが非常に困難です。
特に肩のラインやウエストのシェイプ、襟の立ち上がりなどが崩れやすく、ただの「布の塊」のように写ってしまいがちです。お客様が着用した際のイメージを伝えられなければ、購入には繋がりません。
理由3:正確な色と形を再現するのが困難
特に黒や濃紺、深いチャコールグレーといったダークカラーのコートは、撮影が非常にシビアです。
少しでも照明が不適切だと、黒潰れを起こしてディテールが全く見えなくなったり、逆に光が当たりすぎて白っぽく見えたりします。
また、ダウンジャケットのようにボリュームのあるものは、撮影角度によって形が歪んで見えることも少なくありません。
これらの課題は、実はカメラの性能だけの問題ではなく、「光の扱い方」と「商品の見せ方(スタイリング)」に関する専門的な知識と技術で解決できるのです。
難しいコート撮影をプロ品質に変える3つの解決策
それでは、具体的にどのようにしてこれらの問題を解決するのか。
「物撮り.jp」が実際に行っているプロのテクニックを3つのステップに分けてご紹介します。
高価な機材がなくても応用できる考え方なので、ぜひ参考にしてください。
解決策1:照明は「半逆光」で質感を浮かび上がらせる
これが最も重要なポイントです。商品の質感を最大限に引き出すためのライティング、それは「半逆光」です。
- 半逆光とは?:被写体(コート)の斜め後ろ、45度くらいの角度から光を当てるライティング方法です。正面から当てる「順光」とは異なり、光が生地の表面をかすめるように通過するため、繊維一本一本の凹凸に微細な影が生まれます。
- なぜ効果的なのか?:この微細な影こそが、写真に「立体感」と「質感」をもたらす正体です。例えば、カシミヤのコートであれば、その滑らかで柔らかな毛並みが光に照らされてふんわりと浮かび上がります。ツイードであれば、複雑に織り込まれた糸の表情がくっきりと見え、素材の良さを視覚的に伝えられます。
【物撮り.jpの現場から:失敗談】
以前、あるクライアント様からお預かりした上質なウールコートを、最初はセオリー通り正面から柔らかい光で撮影しました。しかし、何度撮ってもモニターに映るのは、素材感が失われたただの黒い物体。そこで照明を大胆にサイド、そして少し後ろへ移動させたところ、息をのむほど美しい生地の目が浮かび上がりました。
この経験から、「コートの主役は形でなく質感。質感は影で描く」という我々の鉄則が生まれました。
解決策2:シルエットを整える「アンコ」と「テグス」の技術
プロの現場では、コートの形を整えるために様々な道具を使います。その中でも特に重要なのが「アンコ」と「テグス」です。
- 「アンコ」で内側から立体感を出す:「アンコ」とは、薄紙や緩衝材などを丸めて作った詰め物のことです。これをコートの肩や袖、胴回りなどに適切に入れることで、まるで人が着ているかのような自然な膨らみと立体感を生み出します。特に、肩のラインが綺麗に出るだけで、コート全体の印象は劇的に格好良くなります。ペラペラな印象をなくし、服に命を吹き込む作業です。
- 「テグス」で見えない力で形を操る:「テグス」とは、透明な釣り糸のことです。これを使って、襟を立たせたり、袖の角度を微調整したり、ウエストの絞りを強調したりします。例えば、コートの裾を少しだけテグスで吊り上げることで、軽やかな動きを表現することも可能です。ミリ単位の調整ですが、この一手間が写真のクオリティを大きく左右します。
解決策3:カメラ設定とレタッチで細部をプロの領域へ
最高のライティングとスタイリングが整ったら、最後にカメラ設定とレタッチで仕上げます。
最適なカメラ設定
- 絞り(F値): F8〜F11程度に設定します。これにより、コートの隅々までピントが合った、シャープでクリアな写真になります(専門的には「被写界深度を深くする」と言います)。
- ISO感度: 照明をしっかり使うため、画質の劣化を防ぐためにISO100など、可能な限り低い数値に設定します。
- 三脚の使用: 手ブレを完全に防ぎ、商品のディテールを鮮明に写すために、三脚は必須です。
レタッチによる最終仕上げ:撮影が終わった後、プロは必ずレタッチ(画像編集)を行います。
- ホコリ除去: 特に暗い色のコートは、肉眼では見えない小さなホコリも目立ちます。これらを一つ一つ丁寧に消していきます。
- 形状補正: スタイリングで整えきれなかったシワやヨレを、不自然にならない範囲で修正し、より美しいシルエットに仕上げます。
- 色調補正: ブランドが意図した通りの正確な色味になるよう、ホワイトバランスやコントラストを精密に調整します。
物撮り.jpでのダウンジャケット撮影事例
先日、あるアパレルECサイト様から「自分たちで撮影した黒のダウンジャケットの写真が、まるでゴミ袋のようだ」という切実なご相談を受けました。
お預かりした商品は、光沢感とふっくらとしたボリュームが魅力的な高級ダウンでした。
そこで私たちが実践したのが、まさに今回ご紹介した3つの解決策です。
- ライティング: 2灯のライトを両サイドの半逆光気味の位置に設置。光が当たりすぎないよう「グリッド」というアクセサリーを装着し、ダウンの光沢感をコントロールしながら、一つ一つのブロックの立体感が際立つように調整しました。
- スタイリング: ハンガーに吊るしただけでは潰れてしまうダウンの各ブロックに、裏側から丁寧に薄紙の「アンコ」を詰め、理想的なボリューム感とシルエットを再現。襟元はテグスで少しだけ立たせ、精悍な印象をプラスしました。
- 撮影とレタッチ: F11まで絞り込んで全体をシャープに撮影。その後、レタッチで縫い目から出ていた微細な羽毛やホコリを徹底的に除去し、ブランドイメージに合うよう黒の深みと光沢のバランスを整えました。
納品後、クライアント様からは「まるで別の商品のように生まれ変わった。これなら自信を持ってお客様に勧められる」と大変嬉しいお言葉をいただき、実際にそのシーズンの売上も大幅に向上したとご報告を受けました。
まとめ:難しいコート撮影はプロに任せるという選択肢
冬の定番アイテムであるコートは、ECサイトの売上を左右する重要な商品です。その魅力を最大限に引き出すためには、
- 半逆光による質感の表現
- アンコやテグスを使った立体的なスタイリング
- 適切なカメラ設定と精密なレタッチ
といった専門的なテクニックが不可欠です。もちろん、ご自身で試行錯誤するのも一つの方法ですが、時間と手間がかかる上に、機材投資も必要になります。
もし、「すぐにクオリティの高い写真が必要だ」「撮影に時間をかけるより、販売や企画に集中したい」とお考えでしたら、ぜひ私たち物撮りのプロにお任せください。
「物撮り.jp」では、1カット550円(税込)からというリーズナブルな価格で、プロクオリティの商品撮影サービスを全国からご利用いただけます。
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