スマホ時代のECは「読む」より「見る」。CVRを劇的に変える『触れるディテール写真』の正体と、プロが教える枚数戦略
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こんにちは、株式会社ピックアパートメントのカメラマン、篠原です。
「楽天やAmazonの商品画像、上限枚数まで登録したほうがいいですか?」
この質問、本当によく受けます。私の答えは決まっています。「もちろんです。ただし、意味のある画像なら」です。
かつてPCでの閲覧が主流だった頃は、大きな画面で商品説明文をじっくり読んでもらえました。しかし、今はスマホ全盛期。通勤電車の中で、あるいは寝る前のベッドの中で、親指一本で高速スクロールされる時代です。
正直に言いましょう。お客さまは、あなたが一生懸命書いた説明文をほとんど読んでいません。
読まない代わりに何をしているか。「画像」を見ています。画像をスワイプし、そこに映る情報だけで「買うか、買わないか」を直感的に判断しているのです。つまり、画像こそが最強の接客担当者なのです。
では、限られた枚数(Amazonなら数枚、楽天なら20枚など)の中で、何をどう見せれば、その高速スクロールを止め、購入率(CVR)を上げることができるのか。現場のプロの視点から、その具体的な戦術をお話しします。
画像枚数は「上限ギリギリ」まで使うべき。ただし「捨てカット」は一枚も許されない

Amazonや楽天の出店者様であれば、ガイドラインや仕様の変更に敏感なはずです。現在、多くのプラットフォームで登録可能な画像枚数は増えています。これはプラットフォーム側も「画像が多いほうが購入につながる」というデータを持っているからです。
スマホユーザーは文字を読まない。「スワイプ」こそが情報の取得手段
スマホのUI(ユーザーインターフェース)を想像してください。商品ページを開いた瞬間、最初に目に入るのはメイン画像。そして、横にスワイプすることで次の画像が現れます。
この「スワイプ」という行為は、ページを下にスクロールしてテキストを読む行為よりも、圧倒的に心理的ハードルが低いのです。指を少し動かすだけで情報が入ってくる。だからこそ、ここで情報を網羅する必要があります。
もし、画像が3枚しかなかったらどうなるでしょう?スワイプは一瞬で終わり、お客さまは「情報不足」を感じて離脱します。あるいは、わざわざ下にスクロールしてテキストを探さなければならず、その手間がストレスとなって離脱につながります。
だからこそ、枚数は多ければ多いほどいい。20枚登録できるなら、20枚分の情報を視覚的に提供する。これがスマホ時代の鉄則です。
1枚目は「顔」、2枚目以降は「接客」。役割を明確に分ける
ただし、似たようなアングルの写真を羅列するのは逆効果です。「また同じような写真か」と思われた瞬間、お客さまの親指は「戻る」ボタンに向かいます。
- 1枚目(サムネイル): 検索結果で選ばれるための「顔」。白背景で商品を大きく、明確に見せる。
- 2枚目〜5枚目: 商品の全体像、バリエーション、使用イメージ。
- 6枚目以降: ここが勝負です。徹底的な「ディテール(詳細)カット」による接客です。
多くの企業担当者様が悩むのは、この「6枚目以降」の作り方です。ここで何を撮るかが、CVRの分かれ道になります。
「詳細カット」の正解はこれだ。購入率(CVR)を上げるのは「擬似的な触覚」

「詳細を撮ってください」と言うと、多くの方が単に商品をアップにしただけの写真を撮ってしまいます。しかし、それでは不十分です。
ECサイトにおける最大の欠点は「実物に触れないこと」です。 重さ、硬さ、手触り、素材の凹凸。これらを確認できない不安が、購入の最後のブレーキになります。
写真の役割は、この「触れない」という欠点を視覚情報で補完し、脳内で「触った気」にさせること。つまり「擬似的な触覚」を提供することです。
どこを撮るべきか?スペック表に書けない「質感」を狙え
例えば、革製品を扱っているとしましょう。「本革使用」とテキストで書くのは簡単です。しかし、お客さまが知りたいのは「どんな革なのか?」です。
シボ(革の凹凸)の深さは? 光沢は控えめなのか、ギラギラしているのか? ステッチ(縫い目)の糸は太いのか、細いのか?
こうした「質感」こそが、品質への信頼を生みます。 具体的には以下のポイントを狙って撮影します。
- 素材の境界線: 異素材が組み合わさっている部分(例:スマホケースのプラスチックとラバーの継ぎ目)。ここの処理が綺麗だと、全体の品質が高く見えます。
- 稼働部・金具: ジッパーの引手、バッグの留め具、ガジェットの端子部分。金属のメッキの輝きや、エッジの処理の美しさを伝えます。
- 裏側・底面: 普段見えない部分こそ、手抜きがないことを証明する重要なポイントです。
ただ寄ればいいわけではない。マクロレンズと被写界深度(F値)の罠
ここで少し技術的な話をしましょう。 「詳細カットなら、スマホのズームや、後からトリミングすればいいのでは?」 そう思われるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。
トリミングは画素数を大幅に削る行為です。画像が荒れれば、素材の質感は一気に失われ、「安っぽい」印象を与えてしまいます。プロは必ず「マクロレンズ」を使って、光学的に被写体に迫ります。
さらに難しいのが「ピントの範囲」です。 被写体に近づけば近づくほど、ピントが合う範囲(被写界深度)は極端に浅くなります。例えば、時計の文字盤をアップで撮ろうとしたとき、針にピントを合わせると、文字盤の数字がボケてしまう。これでは商品の良さが伝わりません。
私たちプロは、F値を適切に絞り込み(F11〜F16など)、必要であれば「深度合成」という技術を使って、手前から奥までカチッとピントが合った写真を生成します。「見せたい部分すべてにピントが合っている」状態を作ることで、お客さまはストレスなく詳細を確認できるのです。
光のコントロールで「シズル」を作る。正面からの光がダメな物理的理由
もう一つ、決定的な違いが「ライティング」です。 質感を出すために最も重要なのは、「影」のコントロールです。
カメラの内蔵フラッシュや、正面からのリングライトだけで撮影していませんか? 正面から光を当てると、素材の凹凸にできる微細な影が消え去ってしまいます。影が消えるということは、立体感がなくなり、「のっぺり」とした平面的な写真になることを意味します。これでは「質感」は伝わりません。
私たちは、サイドや斜め後ろから意図的に光を当て(半逆光など)、素材の表面にわずかなハイライトとシャドウを作ります。
- 硬い光(ハードライト): 金属の鋭さや、ガラスの硬さを表現する。
- 柔らかい光(ソフトライト): 布の柔らかさや、革のしっとり感を表現する。
この光の質を、ディフューザー(拡散布)やレフ板を使ってミリ単位で調整する。この工程があるからこそ、画面越しでも「手触り」が伝わるのです。
なぜ「自社撮り」で枚数を増やすと失敗するのか?現場で起きる負の連鎖

ここまで読んで、「理屈はわかった。じゃあ社内でやってみよう」と思われたかもしれません。 しかし、私はあえて警鐘を鳴らします。詳細カットを増やせば増やすほど、社内の撮影業務は破綻に近づきます。
「とりあえず撮った」画像がブランドの信頼を毀損する
先ほど申し上げた通り、詳細カットは「粗(アラ)」が見えやすいカットでもあります。 照明のコントロールが甘い状態でアップの写真を撮ると、商品についた微細なホコリ、指紋、あるいはパッケージの小さな歪みが強調されて写ります。
「なんか汚いな」「管理が悪そうだな」 そう思われた瞬間、購入候補から外れます。 プロの現場では、撮影時間と同じかそれ以上に、事前の清掃やホコリの除去、そして撮影後のレタッチ(ゴミ取り)に時間をかけます。詳細を見せるということは、それだけの覚悟が必要なのです。
1カットに30分かけられますか?経営視点で見る「時間単価」の不合理
20枚の画像を登録するために、20カット撮影する。 セッティングを変え、ピントを確認し、ライティングを調整し、撮影データをPCに取り込み、色を補正し、リサイズしてアップロードする。
慣れていない方がこれを行うと、1商品あたり数時間は優に超えます。 あなたの時給はいくらでしょうか? 他のスタッフがやったとしても、その人件費は?
本来、御社がやるべきことは「商品の企画」や「販売戦略の立案」はずです。撮影という「作業」に時間を奪われ、本来のコア業務が疎かになっては本末転倒です。
餅は餅屋。写真は写真屋。 これは単なることわざではなく、ビジネスにおける合理的な分業の原則です。
「撮る」作業を手放し、「選ぶ」作業に専念する。それが担当者の本来の仕事

私たちが提案したいのは、単なる撮影代行ではありません。「時間とクオリティを買う」という経営判断です。 商品を送っていただき、私たちが最適なライティングと機材で撮影する。納品された高品質な画像の中から、構成に合わせて「選ぶ」。 これなら、担当者様の負担を最小限にしつつ、最大の成果(CVR向上)を狙えます。
御社の商材や目的に合わせて、私たちピックアパートメントは2つの特化型サービスを用意しています。
【物撮り.jp】カタログ・スペック重視なら、徹底的な効率化を

もし、あなたが扱っている商品が「家電」「ガジェット」「工具」「日用品」など、機能やスペックを正確に伝える必要があるものなら、「物撮り.jp」 が最適解です。
- 徹底した白背景・切り抜き前提のクオリティ: 楽天やAmazonのガイドラインに完全準拠。
- 詳細カットの指示もスムーズ: 「端子部分のアップ」「背面のラベル」など、必要なカットを指示いただければ、マクロレンズを駆使して鮮明に記録します。
- 圧倒的なコストパフォーマンス: 効率化されたワークフローにより、大量の商品でも短納期・低コストで対応。
「とにかく枚数を揃えたい」「正確な色と形を見せたい」。そんなニーズには、私たちが長年磨き上げてきたこのサービスが必ず役立ちます。
【フォトル】ブランドの世界観重視なら、演出力を味方に

一方で、商材が「コスメ」「食品」「アパレル小物」「インテリア」など、機能よりも「雰囲気」や「使用感」が購入の決め手になるものなら、「フォトル」 にお任せください。
- スタイリングによる演出: 背景紙の色選びから、小物の配置まで、プロのスタイリスト視点でご提案します。
- 利用シーンの想起: 「朝の光の中で使うイメージ」「夜のリラックスタイム」など、光の演出でストーリーを作ります。
単なる説明画像ではなく、「この商品がある生活」を想像させる。指を止めさせ、心を動かすクリエイティブが必要な場合は、こちらを選んでください。
【まとめ】
長くなりましたが、要点は以下の通りです。
- スマホユーザーには「スワイプ」で情報を届ける。画像枚数は上限まで活用する。
- 詳細カットの役割は「擬似的な触覚」。質感、素材感、裏側を見せて信頼を得る。
- スマホのズームはNG。マクロレンズと適切なライティング(光と影)が必須。
- 自社でやろうとすると、ホコリや光の反射で逆に品質が低く見え、膨大な時間が溶ける。
- スペック重視なら「物撮り.jp」、世界観重視なら「フォトル」。使い分けがカギ。
「たかが商品画像」ではありません。画面の向こうのお客さまにとっては、それが商品の全てです。 私たちプロの技術を、御社の「売れる仕組み」の一部として組み込んでみませんか?
まずは、今お手元にある商品のうち、「もっと魅力が伝わるはずなのに」と歯がゆく思っている一品について、私たちに相談してください。その一品がどう変わるか、まずはそこから始めましょう。

