【プロ直伝】「透明な商品」が白背景で消える…。その悩み、照明の「足し算」ではなく「引き算」で解決します。

2026.1.23
【プロ直伝】「透明な商品」が白背景で消える…。その悩み、照明の「足し算」ではなく「引き算」で解決します。

化粧品メーカーのご担当者様から、よくこんな画像を見せられます。 白い背景に置かれた、透明な化粧水のボトル。 しかし、ボトルの輪郭は背景の白に飲み込まれ、まるでラベルだけが宙に浮いているような写真。

「もっと明るく撮れば綺麗になると思って照明を強くしたら、余計に見えなくなってしまって…」

そうなんです。 実はこれ、「明るくすれば綺麗に見える」という思い込みが招く、最大の落とし穴なんです。

結論から言います。 透明な商品を白背景で際立たせるために必要なのは、光を足すことではありません。 「黒(影)」を意図的に映り込ませること。これに尽きます。

今日は、私がスタジオで実践している「透明素材を撮るための物理学」を、専門用語を極力減らしてお伝えします。

なぜ「透明な商品」は白背景で消えてしまうのか?

なぜ「透明な商品」は白背景で消えてしまうのか?

そもそも、私たちが「モノ」を目視できるのはなぜでしょうか。 それは、モノに当たった光が反射して、目に届くからです。

しかし、透明なガラスやアクリルは、光を「反射」せずに「透過」させます。 ここが厄介な点です。

カメラは「光の反射」しか見ていない

白い背景の上に透明なボトルを置くと、ボトルは背景の「白」をそのまま透過させます。 カメラのレンズから見れば、ボトルの場所も、背景の場所も、同じ「白い光」が届いている状態。 これでは、どこからが商品で、どこからが背景なのか、区別がつくはずがありません。

人間の目は優秀なので、わずかな屈折や映り込みを脳内で補正して「そこに透明な物体がある」と認識できます。 しかし、カメラのセンサーは正直です。光の強弱(コントラスト)がないものは、容赦なく「白一色」として記録します。

失敗の典型例「全体を明るくしすぎる」

社内撮影でよくある失敗パターンがこれです。 「商品が暗いから」と、正面からストロボやLEDライトをガンガンに当てる。 さらに、背景も真っ白に飛ばそうとして、四方八方から光を浴びせる。

これをやるとどうなるか。 商品の表面(ガラス面)に強烈なライトの形が「バチッ」と白く反射し、商品の質感どころではなくなります。 さらに、過剰な光がボトルの中を乱反射し、全体が白っぽくフレアを起こします(これを現場では「ハレーションを起こす」と言います)。

結果、輪郭がボケて、ラベルの文字も読みづらい、ぼんやりとした白い塊が出来上がります。 透明感を出すために光を足したのに、逆に透明感が失われる。皮肉な現象ですが、光学的には当然の結果なのです。

現場の解決策。「黒」を使いこなせ

現場の解決策。「黒」を使いこなせ

では、どうすればいいのか。 私がスタジオで透明なボトル(例えば高級な美容液の瓶)を撮る時、まず手に取るのはライトではありません。 「黒いケント紙」や「黒いボード」です。

光を足すな、「影」を映り込ませろ(黒ケント紙の魔術)

透明な物体の「形」を表現するのは、輪郭です。 白背景の中で輪郭を出すには、輪郭部分だけを「黒く(暗く)」締めなければなりません。

具体的なセッティングをお教えします。 商品の左右、カメラの画角に入らないギリギリの位置に、細長い黒い紙(または板)を立ててください。これを業界用語で「黒締め(くろじめ)」や「黒ケミ」と呼びます。

するとどうなるか。 ボトルの側面のガラスが、この「黒」を反射し、輪郭にスッと黒いラインが入ります。 今まで背景に溶け込んでいたボトルが、急に「物質」として浮かび上がってくる瞬間です。

この黒いラインの太さや濃さは、黒い紙を商品に近づけたり遠ざけたりして調整します。 太すぎると重たい印象になり、細すぎると存在感が消える。 この数ミリの調整こそが、私たちプロカメラマンの腕の見せ所であり、商品の「高級感」を左右する重要な工程です。

エッジを立たせる「透過光」のコントロール

輪郭を黒で締めたら、次は商品の「中身」の表現です。 透明な液体の美しさを伝えるには、正面からの光ではなく、後ろからの光(逆光)を利用します。

商品の真後ろ、背景紙の裏側からライトを当てたり、乳白色のアクリル板越しに後ろから光を入れたりします。 こうすることで、液体が内側から発光しているかのように輝き、ボトルの中の気泡や液体のテクスチャーが美しく描写されます。

ただし、これもやりすぎは禁物。 光が強すぎると、先ほど作った「黒い輪郭」が光に食われて消えてしまいます。 手前の「黒締め」と、後ろからの「透過光」。 この2つのバランスを、1/3段(露出の単位)刻みで調整していく。

これが、ECサイトで思わずクリックしたくなる「シズル感」のある写真の正体です。

「切り抜き」が不自然になる本当の理由

「切り抜き」が不自然になる本当の理由

AmazonなどのECモールでは、メイン画像の背景を「純白(RGB値ですべて255)」にすることが求められます。 撮影したデータをPhotoshopなどのソフトで「切り抜き加工」するわけですが、ここでまた問題が起きます。

「切り抜いたら、ガラス瓶が宙に浮いているような違和感が出た」

これは、切り抜く際に「商品の影」と「透過した背景」を完全に消してしまうことが原因です。

アマゾン規定の「白(RGB255)」と透明感の矛盾

透明な商品は、背景の色や明るさを透過します。 撮影時にグレーっぽい白背景で撮ったものを、無理やり真っ白な背景の上に合成すると、ボトルの中に見えている「撮影時の背景のグレー」と、合成先の「純白」の整合性が取れなくなります。

これが「合成感」「不自然さ」の正体です。 特に、ボトルの底面に落ちる影や、ガラスを通して屈折して見える床面の表情までバッサリ切り落としてしまうと、商品は重力を失い、まるでシールを貼ったようなチープな画像になります。

合成感を消すための「撮影時」のひと手間

これを防ぐためには、撮影の段階で「限りなく白に近いが、白飛びしていない背景」で撮る必要があります。 そして、画像処理の際には、単に輪郭をパスで囲って切り抜くのではなく、ボトルの中の「透過度」をマスク処理で再現する必要があります。

具体的には、ボトル越しに見える背景が少し透けるように、ボトルの不透明度を調整したり、「乗算」モードを活用して馴染ませたりします。

これ、言葉で言うのは簡単ですが、Photoshopの高度なスキルと、光の理屈を理解していないとできない作業です。 AIの自動切り抜きツールが苦手とする領域でもあります。

ガラスの複雑な屈折までは、まだ今の技術では完全に再現しきれないことが多いのです。

「自社撮影」と「プロへの依頼」の分岐点

「自社撮影」と「プロへの依頼」の分岐点

ここまで、透明な商品の撮影方法について解説してきました。 「なるほど、黒い紙を置いて、後ろから光を当てればいいのか」 と思われたかもしれません。

確かに、理屈はそうです。 しかし、これを実際の業務フローに落とし込もうとすると、別の問題が見えてきます。

1カットにかけられる「時間」と「機材コスト」の計算

想像してみてください。 新商品が10点あります。それぞれボトルの形状も大きさも違います。

円柱形のボトルなら黒締めは左右でいいですが、四角いボトルの場合は? 蓋が金属製だったら? 中身が透明ではなく、乳白色だったら?

被写体が変わるたびに、黒い紙の位置、ライトの強さ、角度をすべて微調整しなければなりません。 慣れていない方がやると、1カットのセッティングを決めるだけで平気で1〜2時間は過ぎていきます。

さらに、ディフューザー(光を柔らかくする布)、レフ板、それを固定するスタンド、背景紙…。 これらを揃え、管理するスペースとコスト。 そして何より、担当者様が撮影に費やす時間の人件費。

これらを天秤にかけたとき、「本当に自社で撮るのが合理的か?」という問いが生まれます。

カタログスペック重視なら「物撮り.jp」という選択

カタログスペック重視なら「物撮り.jp」という選択

もし、Amazonや楽天のサムネイル画像、カタログ用の「正確で清潔感のある白背景写真」が大量に必要なら、ぜひ弊社の「物撮り.jp」をご検討ください。

私たちには、透明な商品を撮り続けてきた膨大なデータとノウハウがあります。 「この形状のボトルなら、このライティング」という最適解を瞬時に導き出せるため、圧倒的なスピードで、安定したクオリティの写真を提供できます。

1カットあたりの単価も、皆様が機材を揃えて試行錯誤するコストに比べれば、驚くほど合理的だと感じていただけるはずです。 「白背景で消えてしまう」という悩みは、私たちに丸投げして、本来の業務である商品企画や販促に集中してください。

世界観を作り込むなら「フォトル」の出番

世界観を作り込むなら「フォトル」の出番

一方で、ブランドのトップページやInstagramに使いたい、「水しぶきが舞うような爽快なイメージ」や「洗面台に置かれた朝のワンシーン」のような写真が必要なら、「フォトル」にご相談ください。

こちらは、単にモノを撮るだけでなく、スタイリストと連携して「商品がある生活」を演出します。 透明なボトルの影が落ちる美しい瞬間、光の屈折が作り出すアーティスティックな表現。 そういった「情緒」や「ブランドイメージ」を写真に定着させるのは、フォトルの得意分野です。

【まとめ】

  • 透明な商品が消える原因:カメラは透過光を認識できない。白背景と同化してしまうため。
  • 解決策(物理):光を足すのではなく、「黒い紙」を横に置いて輪郭に影を映り込ませる。
  • 解決策(表現):正面光ではなく、背面からの透過光で中身の透明感を演出する。
  • 切り抜きの罠:Amazon用の完全な白背景を作るには、撮影時の背景コントロールと、高度なレタッチ技術が不可欠。
  • 経営的視点:セッティングにかかる膨大な時間と機材コストを考えると、プロへの依頼が結果的にコストダウンになる。

透明な商品の撮影は、光との対話です。 その対話に疲れてしまったら、いつでも篠原にお声がけください。 御社の商品が持つ本来の美しさを、私が責任を持ってレンズ越しに引き出します。

商品1点からでも撮影します

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