ガラス瓶の撮影で「写り込み」に勝つ。プロが現場でやっている、透明な被写体を支配する黒と白の魔術

2026.1.17
ガラス瓶の撮影で「写り込み」に勝つ。プロが現場でやっている、透明な被写体を支配する黒と白の魔術

株式会社ピックアパートメントの篠原です。

飲料メーカーの広報さんや、香水ブランドを立ち上げたばかりの方から、本当によく相談されます。

「ボトルを撮ると、どうしてもカメラを構えた自分が写ってしまう」 「部屋の蛍光灯や窓枠が写り込んで、商品が安っぽく見える」

わかります。その悩み、痛いほどわかります。

ガラス、アクリル、そして金属。これら「光を反射する素材」は、商品撮影において最も難易度が高い被写体です。カメラの設定をどれだけいじっても解決しません。

なぜなら、これはカメラの問題ではなく、「空間と物理」の問題だからです。

今日は、私が現場でガラス瓶と対峙する時、どのようにして「透明で美しいボトル」を削り出しているのか。その物理的なトリックを包み隠さずお話しします。

ガラス瓶の「写り込み」を消す魔法はありません。あるのは「物理」だけです。

ガラス瓶の「写り込み」を消す魔法はありません。あるのは「物理」だけです。

なぜあなたの顔がボトルに写るのか?「凸面鏡」の罠

まず、残酷な事実をお伝えします。

ガラス瓶の表面は、カーブしていますよね? あれは物理的に言うと「広角レンズがついた鏡(凸面鏡)」と同じです。

カーブミラーを想像してください。あれは交差点全体を映すために丸まっています。

あなたの商品のボトルも同じ。つまり、ボトルの前にある部屋の景色、機材、そしてあなた自身を、360度近い角度で拾い集めて映し出しているのです。

これを「写り込まないようにする」のは、鏡の前に立って「私の姿を映すな」と念じるようなもの。不可能です。

「消す」のではなく「映っていいものだけを映す」という発想転換

では、プロはどうしているのか。 私たちは写り込みを「消して」はいません。「映ってもいいもの」に置き換えているのです。

映ってもいいものとは何か? それは「純粋な光(白)」か「純粋な闇(黒)」のどちらかです。 部屋のエアコンや散らかったデスクを、真っ白な紙や真っ黒な布の反射に置き換えてしまう。これが、ガラス撮影の唯一の攻略法です。

現場の常識「写り込み」を支配する3つの物理的アプローチ

現場の常識「写り込み」を支配する3つの物理的アプローチ

「なんだ、簡単なことか」と思いましたか? いえ、ここからが泥臭い戦いの始まりです。具体的な手順を解説しましょう。

手順1:部屋の電気を消して「闇」を作るのがスタートライン

まず、撮影している部屋の照明(シーリングライトなど)を全て消してください。昼間なら遮光カーテンを閉めます。 部屋を真っ暗にする。これが絶対条件です。

なぜか? 部屋の明かりがついている限り、その光は制御不能な「雑音」としてボトルの表面に映り込みます。

私たちが使うストロボや定常光ライト以外の光を、一切入れない。「光の引き算」を徹底することで、初めて計算通りの反射を作ることができます。

手順2:トレペで「光の結界」を張る(自作ディフューズボックスの極意)

次に必要なのが、トレーシングペーパー(以下、トレペ)です。 商品を囲むように、トレペで四角い壁、あるいはドームを作ります。商品の左右、上、奥、すべてを白い紙で覆うのです。

こうすると、ボトルは「部屋」ではなく「白い紙」を映し返します。 照明(ライト)はこのトレペの外から当てます。

すると、ライトの光がトレペで拡散され、柔らかく美しいグラデーションの「白い映り込み(ハイライト)」に変わります。 あの化粧品のポスターのような、滑らかに走る白いラインは、こうして「映り込ませて」作っているのです。

手順3:カメラマン自身が「黒子」になる(レンズ穴ボードの作成)

トレペで囲っても、一つだけ穴が開いていますよね? そう、あなたがカメラを構えている「正面」です。ここから、あなた自身が写り込みます。

これを防ぐために、私たちは「レンズの穴だけ開けた黒(または白)のボード」を使います。 ウレタンボードやカポックの中心に丸い穴を開け、そこからレンズだけを覗かせて撮影するのです。

これで、ボトルから見た世界は「真っ白な壁と、中心にある小さな黒い点(レンズ)」だけになります。 ここまでやって初めて、あの「何も写っていないクリアなボトル」が完成します。

「黒締め」と「白締め」…ボトルの輪郭を削り出すプロの技

「黒締め」と「白締め」…ボトルの輪郭を削り出すプロの技

ここからさらに一歩踏み込みます。単に写り込みを消すだけでは、ボトルは「のっぺり」します。 立体感を出すために必須なのが「黒締め(くろじめ)」という技術です。

透明な液体を「黒ケント紙」で挟むと何が起きるか

透明なガラス瓶を白い背景で撮ると、瓶の輪郭が背景に溶け込んでしまい、境界線が曖昧になりがちです。 そこで、ボトルの左右真横(カメラから見て死角になるギリギリの位置)に、細長く切った「黒ケント紙」を立てます。

すると、ガラスの側面がこの黒い紙を反射し、ボトルの輪郭にキリッとした「黒いライン」が入ります。これが「黒締め」です。

この黒いラインが入ることで、ボトルは背景から切り離され、圧倒的な立体感と高級感を纏います。香水や高級飲料の撮影では必須のテクニックです。

エッジが消える?背景に溶け込ませないための「白黒の配置」

逆に、濃い色のボトルや黒背景で撮影する場合は、白い紙を置いて輪郭を明るく起こす「白締め」を行います。

この黒締め・白締めの配置は、ミリ単位の調整が必要です。 紙をボトルに近づければラインは太くなり、遠ざければ細くなる。 少しでも左右の位置がズレれば、ボトルの形が歪んで見えます。

ファインダーを覗きながら、アシスタントに「右の紙、あと2ミリ奥!」と叫ぶ。そんな地味な微調整の繰り返しが、プロの現場です。

その撮影セット、毎回組んで片付けますか?

その撮影セット、毎回組んで片付けますか?

さて、ここまで読んで「よし、やってみよう」と思ったチャレンジャーなあなたへ。 最後に、コストの話をさせてください。

1カットのために「簡易スタジオ」を建設する見えないコスト

上記の手順を実行するには、実質的に「部屋の中に小さなスタジオを建設する」のと同じ労力がかかります。 トレペを吊るスタンド、黒ケント紙を固定するクリップ、レンズ穴を開けたボードの工作、そして遮光。

これらを準備し、セッティングし、微調整して1枚撮る。そしてまた片付ける。 慣れていない人がやれば、準備だけで1〜2時間は優に飛んでいくでしょう。

ホコリと指紋との終わらない戦い(レタッチ地獄の入り口)

さらに最大の敵がいます。「ホコリ」と「指紋」です。 強い光を当てたガラス瓶は、肉眼では見えない微細なホコリまで克明に写し出します。黒締めをすればするほど、表面の指紋や汚れが浮き彫りになります。

撮影前の徹底的な拭き上げ。 それでも写ってしまったホコリを消すための、撮影後のPhotoshop作業。

実は、撮影時間以上に、この「クリーニングとレタッチ」に膨大な時間を食われます。 「社内で撮ればタダ」だと思っていませんか? あなたの時給換算で数万円分の時間が、ホコリ取りに消えているかもしれません。

「自社でやる」が「安上がり」とは限らない経営的な理由

機材費、セッティングの手間、場所の確保、そしてレタッチの時間。これらをトータルで考えた時、果たして自社撮影は合理的でしょうか?

もしあなたが、商品開発やマーケティングといった「コア業務」に集中したいのであれば、撮影という「特殊技能」は外部に出すのが正解です。

「物撮り.jp」で、透明なボトルを透き通ったまま届ける

「物撮り.jp」で、透明なボトルを透き通ったまま届ける

もし、ECサイトやカタログのために、「正確で」「清潔感があり」「大量の」商品写真が必要なら、迷わず「物撮り.jp」をご利用ください。

私たちが提供するのは、単なる写真撮影代行ではありません。「クオリティの均一化」です。 熟練のスタッフが、今日お話しした「トレペの囲い」や「黒締め」のセッティングを完璧に組み上げ、流れ作業で効率よく撮影します。

  • 写り込み完全除去: カメラマンも部屋も写らない、純粋な商品画像。
  • 正確な色と質感: 熟練のライティングで、液体の色味を忠実に再現。
  • 圧倒的なコストパフォーマンス: システム化されたフローで、あなたが1日かけて撮る量を、短時間かつ低コストで納品します。

特にSKU(商品数)が多い場合、自社での撮影は現実的ではありません。「餅は餅屋」に任せるのが、最も賢い経営判断です。

https://butsu.jp/

「フォトル」で、香りのイメージすら写し撮る

「フォトル」で、香りのイメージすら写し撮る

一方で、もしあなたが求めているのが、Instagramのフィードを飾るような「世界観」のある写真なら「フォトル」にご相談ください。

ここでは、「写り込みを消す」だけでなく、「あえて魅力的に反射させる」テクニックを使います。

  • スタイリング重視: ボトルの周りに果実やハーブを配置したり、水滴を演出したりして、香りを視覚化します。
  • リッチなライティング: 影を意図的に作り、ドラマチックな雰囲気を演出。ブランドの高級感を底上げします。
  • SNS特化: スマホの画面で見た時に、思わずタップしたくなる「強さ」のあるクリエイティブを提供します。

単なる商品写真を超えた、「売れるためのビジュアル」が必要なら、こちらが最適解です。

https://photoru.net/

まとめ

ガラス瓶の撮影における「写り込み」は、消すものではなく、物理的にコントロールするものです。

  1. 環境: 部屋を真っ暗にし、余計な光を遮断する。
  2. 囲い: トレペでドームを作り、映り込む世界を「白」にする。
  3. 黒締め: 黒ケント紙を配置し、ボトルの輪郭を削り出す。
  4. 隠れる: レンズ穴を開けたボードで、カメラマン自身も消える。

この工程を、ホコリと戦いながら毎回行う労力。それを「コスト」として捉えられるあなたなら、プロに依頼する価値がわかるはずです。

私たちは、あなたのボトルが持つ輝きを、1ミリの曇りもなく写真に収める準備ができています。

いつでもスタジオでお待ちしております。

商品1点からでも撮影します

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