アパレルの春夏撮影、間に合っていますか?キャスト手配と「春の光」を演出するプロの現場術
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こんにちは。株式会社ピックアパートメントのカメラマン、篠原です。
年が明けたと思ったら、アパレル業界はもう春夏の準備で戦場のような忙しさですね。展示会、ルックブック、ECサイトへの商品登録。毎シーズンのこととはいえ、この時期のスケジュールの過密さには、正直なところ胃が痛くなる思いをしている担当者様も多いのではないでしょうか。
特にSS(春夏)コレクションは、AW(秋冬)とは全く違う難しさがあります。重厚感で魅せる秋冬に比べ、春夏は「軽やかさ」「透明感」「爽やかさ」といった、言葉にするのは簡単だけれど、画(え)にするのは非常に繊細な要素が求められるからです。
今日は、そんな繁忙期の只中にいる皆さんに、現場で20年以上シャッターを切り続けてきた私なりの視点で、「どうすれば限られた時間と予算の中で、最高の春夏ビジュアルを作れるか」というお話をさせていただきます。教科書通りの理屈ではなく、泥臭い現場の解決策を持ち帰ってください。
SS(春夏)コレクションの撮影、スケジュールの「詰まり」を感じていませんか?

「スタジオがどこも空いていない」
「イメージに合う着用キャストが見つからない」
この時期、私の携帯電話にも、馴染みのクライアントから悲鳴のような相談がひっきりなしに入ります。春夏の商戦期に向けた撮影需要が一点に集中するため、人気のハウススタジオや、雰囲気の良い外国人キャストのスケジュールは、数ヶ月前から争奪戦になります。
ここで一番怖いのは、焦るあまりに「妥協した撮影」を強行してしまうことです。
「スタジオが取れないから、社内の会議室で撮ろう」
「キャストが見つからないから、社員に着てもらおう」
もちろん、それが悪いとは言いません。工夫次第で良いものは撮れます。しかし、準備不足のまま見切り発車で撮影した写真は、不思議なことに、お客様にもその「急造感」が伝わってしまうものです。
特にアパレルにおいて、写真は商品そのものです。お客様は実物を触れない分、写真から生地の厚み、肌触り、そしてその服を着た時の「空気感」を感じ取ります。妥協した写真は、そのままブランドへの信頼度の低下に直結しかねません。
では、どうすればこのピンチを乗り越えられるのか。まずは技術的な側面から、多くの人が悩み躓(つまず)く「光」の問題について解説します。
「春らしい爽やかな光」は、天気任せにしてはいけない

春夏の撮影オーダーで最も多いのが、「窓辺で撮ったような、柔らかくて爽やかな光でお願いします」というものです。
多くの担当者様は、これを実現するために「日当たりの良いスタジオ」を探し、「晴れの日」を狙って撮影日を設定しようとします。しかし、実はこれ、逆なんです。
なぜ窓からの明かりだけで撮ると失敗するのか
太陽の光、つまり外光は非常に不安定です。雲が一つ流れるだけで光量は数段分変わり、色温度(光の色味)も刻一刻と変化します。午前中と午後では、写真のトーンが全く別物になってしまうことさえあります。
さらに言えば、日本の春先は天候が崩れやすい。「晴れ予報だったのに、当日はどんよりとした曇り空」なんてことは日常茶飯事です。限られた撮影日に太陽のご機嫌を伺っていては、いつまで経っても撮影は終わりません。
プロの視点:太陽は「待つ」ものではなく「作る」もの
私のようなプロのカメラマンは、基本的に太陽を信用していません。その代わり、ストロボ(人工照明)を使って、「擬似的な春の太陽」を作り出します。
具体的にどうするか。少し専門的な話をしましょう。
もし私が「春の爽やかな朝の光」を作るとしたら、まずメインとなる大きなストロボを一灯用意します。しかし、そのまま当ててはいけません。光が硬すぎて、夏の日差しのようになってしまうからです。
そこで、ストロボと被写体の間に、トレーシングペーパーや紗幕(しゃまく)といったディフューザー(光を拡散させる布)を噛ませます。それも1枚ではなく、時には2枚、3枚と重ねて、光の芯を徹底的に柔らかくします。
さらに重要なのが「影」のコントロールです。
春の光の特徴は、影が薄く、淡いこと。被写体の反対側に白いカポック(反射板)を置き、光をバウンスさせて影を「起こし」ます。こうすることで、コントラストを下げ、あたかも部屋全体が優しい光に包まれているような、春特有の空気感を演出するのです。
このセッティングさえ組めれば、外が豪雨だろうと、真夜中だろうと、写真の中だけは「爽やかな春の朝」を作り出せます。スタジオの窓の向きや天候に左右されず、安定したクオリティで撮り続けられる。これがプロの技術です。
理想のキャストが捕まらない時の「ピンチをチャンスに変える」発想転換

次に、撮影における人物の手配についてです。春夏の新作を着てくれる魅力的なキャスト。特に透明感のある外国人キャストなどは、この時期本当に捕まりません。
もし、希望通りの人物が手配できなかった時、どうするか。
ここで「撮影延期」を選ぶのは悪手です。商機を逃してしまいます。
私なら、「顔を見せない演出」への切り替えを提案します。
顔出し至上主義からの脱却
「人物写真は顔が見えてこそ」と思っていませんか?
実はアパレル撮影において、必ずしも顔全体を見せる必要はありません。むしろ、顔が見えないことで、かえって「服そのもの」に視線が集中するというメリットがあります。
例えば、口元から下だけを切り取るフレーミング。あるいは、あえて顔をぼかして、手前の服にピントを合わせる手法。これなら、着用してくれる方の表情作りのスキルに依存せず、雰囲気のある写真を撮ることができます。
「トリミング」と「パーツ寄り」で服の質感を伝える
特にECサイトやSNSでは、全身写真ばかりが並ぶと単調になりがちです。
そこで、生地のテクスチャーが分かるほどの「超アップ」や、袖口のデザイン、ボタンの質感にフォーカスした「パーツ撮り」を織り交ぜます。
春夏の服は、リネンやシアー素材など、素材感に特徴があるものが多いですよね。その透け感や軽やかさは、引きの全身写真では伝わりにくい。思い切って寄ることで、触れた時の感触まで想像させるようなビジュアルを作るのです。
これなら、超一流のキャストを手配しなくとも、身長や体型のバランスさえ良ければ、社内のスタッフや経験の浅い方でも十分に魅力的な「着用イメージ」を作ることが可能です。
撮影業務の内製化が、実は「コスト高」になっている可能性

ここまで、プロの現場での工夫をお話ししてきましたが、これらを自社内ですべて完結させようとすると、実は想像以上の手間とコストがかかります。
「自社で撮ればタダだ」と考える経営者の方もいらっしゃいますが、それは少し危険な計算です。
- 撮影スペースを確保するために商品を移動させる手間
- 高価なカメラや照明機材の購入費とメンテナンス
- 慣れない撮影に四苦八苦する社員の時間(人件費)
- 画像の加工作業にかかる膨大な時間
これらをすべて金額に換算した時、果たして本当に「安い」と言えるでしょうか。
餅は餅屋、という言葉があります。撮影にかかる膨大な時間を、本来の業務である「商品の企画」や「販促戦略」に充てることこそが、結果として売上の最大化に繋がるのではないでしょうか。
プロに依頼するということは、単に写真を撮ってもらうだけでなく、「時間」と「クオリティの担保」を買うという合理的な経営判断なのです。
目的別・最適な撮影サービスの選び方

では、実際に外部に依頼する場合、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
弊社ピックアパートメントでは、お客様の目的に合わせて2つの異なるサービスを用意しています。どちらも私が自信を持って監督しているサービスですが、得意とする領域が異なります。
【物撮り.jp】ECサイトのベースを作るなら

もしあなたが、「大量の春夏アイテムを、とにかく早く、正確に、コストを抑えてECサイトにアップしたい」と考えているなら、迷わず「物撮り.jp」を選んでください。
- カタログスペックの正確さ: 白背景で、商品の色味や形状を正確に伝えます。
- 圧倒的な効率: 熟練のスタッフが流れ作業で撮影するため、大量の商品も短納期で納品可能です。
- コストパフォーマンス: 徹底したマニュアル化により、無駄なコストを削減。予算に優しい価格設定を実現しています。
Amazonや楽天、自社ECの商品詳細ページなど、「お客様が購入を判断するための基礎情報」としての写真は、こちらが最適です。
【フォトル】ブランドの世界観を作り込むなら

一方で、「ブランドのイメージを伝えたい」「Instagramで目を引くような、雰囲気のある写真が欲しい」という場合は、「フォトル」にご相談ください。
- モデル・スタイリング対応: 着用キャストの手配から、プロのスタイリストによるコーディネートまで一括で対応します。
- リッチなロケーション撮影: ハウススタジオやロケ地での撮影で、春夏の爽やかな空気感を演出します。
- ストーリーのある写真: 単なる商品写真ではなく、その服を着て出かけたくなるような「シーン」を切り取ります。
トップページのメインビジュアルや、特集ページ、SNSでの広告クリエイティブなど、「お客様の心を掴むための写真」には、こちらが力を発揮します。
まとめ

春夏の撮影は、時間との戦いです。しかし、焦ってクオリティを落としてしまっては元も子もありません。
天候に左右されないライティング技術や、キャスト不在時の見せ方の工夫など、現場で使えるテクニックは沢山あります。ですが、もし「社内だけでは限界だ」と感じたら、ぜひプロの手を借りることを検討してみてください。
私たちは、単なるカメラマンではなく、あなたのブランドを一緒に育てるパートナーでありたいと願っています。
いつでもご相談ください。最高の春を、一緒に作りましょう。
【要点まとめ】
- 春夏撮影の難所: 1月〜3月は撮影需要が集中し、スタジオやキャストの確保が困難。焦りによる質の低下はブランドイメージを損なう。
- ライティングの極意: 不安定な外光には頼らない。ストロボとディフューザーを駆使して「擬似的な春の光」を作り出すのがプロの技術。
- キャスト手配の工夫: 理想の人物が見つからない時は、顔を切り取るフレーミングや、素材感を伝えるパーツ撮影で「服の魅力」にフォーカスする。
- 内製化の罠: 機材費や人件費などの見えないコストを考慮すると、プロへの依頼は「時間を買う」合理的な投資となる。
- 「物撮り.jp」の活用: 白背景、正確な色再現、大量撮影、コスト重視のECカタログ撮影に最適。
- 「フォトル」の活用: 着用撮影、ロケーション、スタイリング重視のブランドイメージ撮影に最適。