【プロが徹底解説】秋冬の商品写真が劇的に変わる!売上を伸ばす「見せ方」の4つの重要ポイント
秋冬の商品写真で売上を左右する最大のポイントは、『光の色(色温度)』と『素材感の強調』です。
これを押さえるだけで、消費者が潜在的に求める「温かみ」「高級感」「安心感」を劇的に表現できます。
逆に、夏物と同じ感覚で撮影すると、商品の魅力が半減し、クリックすらされません。
今回この記事を書かせていただくのは「物撮り.jp」を運営するプロカメラマンの篠原です。私たちは日々、全国のアパレルブランドやメーカー様から秋冬商材(ニット、コート、レザー製品など)をお預かりし、撮影しています。
この記事では、私たちが多くの失敗と成功から導き出した、秋冬の商品写真で絶対に外せない「見せ方」の具体的なポイントを、専門的な視点から徹底的に解説します。
なぜ秋冬の商品写真は「夏と同じ」では売れないのか?

まず、根本的な違いを理解する必要があります。
夏物の写真は「爽やかさ」「明るさ」「軽さ」が求められます。Tシャツの白さや、リネンの涼しげな透け感が重要です。
しかし、秋冬物に求められるのは真逆の要素です。
- ウールの「柔らかさ」
- カシミヤの「滑らかさ」
- レザーの「重厚感」
- ダウンの「ボリューム感」
これらはすべて「触覚」に関わる情報です。ネットショップの弱点は「触れない」こと。
だからこそ、写真で「触ったら暖かそう」「着たら心地よさそう」と想像させる情報(=シズル感)をどれだけ伝えられるかが、売上の分岐点となります。
夏と同じように、ただ正面から明るく照らしただけの「のっぺり」した写真では、その素材感がすべて消し飛んでしまうのです。
【最重要】秋冬写真の「温かみ」は“光の色”で決まる

最も簡単で、最も効果的なテクニックが「光の色」の調整です。専門用語で「色温度(単位:K ケルビン)」と言います。
高い色温度(例:6000K〜): 青白い光。爽やか、クール、ビジネスライクな印象。夏の日差しやオフィスの蛍光灯に近い。
低い色温度(例:3000K〜): オレンジがかった光。温かい、リラックス、家庭的な印象。夕日や電球の色に近い。
夏物のTシャツは色温度を高く(青白く)設定し、清潔感や爽快感を出すのがセオリーです。
しかし、秋冬のニットやコートを同じ青白い光で撮影するとどうなるでしょう? 「冷たく」「硬く」「無機質」な印象になり、誰も「暖かそう」とは感じてくれません。
【物撮り.jpのノウハウ】あえて「夕方の光」を模倣する
私たち「物撮り.jp」がスタジオで秋冬商材を撮影する場合、夏物よりもあえて色温度を少し下げて(例:4500K前後)設定します。
これは、「暖炉のある部屋」や「午後の柔らかな日差しが差し込む窓辺」を意図的に演出するためです。
この「少し黄色みがかった温かい光」が商品に当たることで、見る人は無意識のうちに「温かさ」や「心地よさ」を連想します。
たったこれだけでも、写真全体の雰囲気は劇的に変わります。
ご自身で撮影される場合、カメラやスマートフォンの「ホワイトバランス」設定を「オート」ではなく、「曇り」や「日陰」に設定してみるだけでも、近い効果が得られる場合があります。
ポイント1:質感を伝える「ライティング(光の当て方)」
「温かみ」の次に重要なのが「素材感(テクスチャ)」です。秋冬物は素材の単価が高いため、その質感が伝わらなければ高価格に見えません。
ニットやウールの「編み目」を出すには「サイド光(半逆光)」
素材感を出すための鍵は「影」です。
想像してみてください。のっぺりとした平らな壁に光を当てても、何も面白くありません。
しかし、凹凸のあるレンガの壁に「横から」光を当てると、一つひとつのレンガの影がくっきりと現れ、立体感が出ます。
これは商品写真でも全く同じです。
- NGな光(順光): 商品の真正面から光を当てる方法。光が均一に当たるため、商品の「影」がすべて消えてしまいます。結果、ニットの編み目やウールの毛羽立ちが白飛びし、「のっぺり」とした写真になります。
- OKな光(サイド光・半逆光): 商品の真横、あるいは斜め後ろから光を当てる方法。
私たちプロは、秋冬のアパレル撮影では、この「サイド光」や「半逆光」を多用します。光が斜めから当たることで、編み目の一つひとつ、繊維の一本一本に微細な「影」が落ちます。
この影こそが、写真に立体感とリアリティを与え、「これは柔らかい素材だ」「しっかり編み込まれているな」という触覚的な情報を視覚で伝える唯一の手段なのです。
【プロの失敗談】カシミヤの質感を殺してしまった「順光」の罠
駆け出しの頃、あるブランドから高級カシミヤセーターの撮影依頼を受けました。私は「商品を明るく、きれいに見せなければ」という意識が強すぎ、いつも通りに正面から強いストロボ光(順光)を当てて撮影しました。
結果、出来上がった写真は、編み目もカシミヤ特有の「うねり(艶)」もすべて白飛びし、まるで安価な化学繊維のセーターのように写ってしまったのです。
もちろん、クライアントからは「これでは素材の良さが全く伝わらない」と厳しいご指摘を受け、すべて撮り直しとなりました。この苦い経験から、私たちは「素材の質感を表現できない光は、秋冬物においては“悪”である」と肝に銘じ、ライティングの角度を徹底的に研究するようになりました。
レザーや光沢素材は「面」で光を当てる
逆に、レザーバッグやエナメル(光沢)素材の靴などは、サイド光を当てると光が一点に集中し、そこだけがテカって(白飛びして)しまいます。
この場合は、ストロボの光を直接当てるのではなく、大きな白い板(レフ板)や布(ディフューザー)に一度反射させた、「柔らかい“面”の光」を当てます。
これにより、素材の滑らかな光沢感や重厚感を「テカり」ではなく「艶(ツヤ)」として美しく表現することが可能になります。
ポイント2:「黒潰れ」を防ぐ!暗い色の秋冬アパレルの見せ方
秋冬は、黒、濃紺、チャコールグレー、ダークブラウンなど、暗い色の商品(ダークトーン)が爆発的に増えます。
EC担当者様から寄せられる最も多いご相談の一つが、「黒いコートが、ただの“黒いカタマリ”にしか写らない」という悩みです。
これは「黒潰れ」と呼ばれる現象です。
暗い部分はすべて真っ黒に写り、襟の形、ポケットのデザイン、生地の切り返しといった重要なディテールが全て失われてしまいます。
これでは、お客様は何を判断基準に購入すればよいか分かりません。
なぜ黒い商品はディテールが伝わらないのか?
理由は2つあります。
- 露出が合っていない: カメラは「白背景」の明るさに引っ張られ、「商品はもっと暗くても大丈夫だ」と誤った判断をしがちです(露出アンダー)。
- 光が足りない: そもそも黒い物体は光を吸収するため、明るい色の商品と同じ光量ではディテールを写し出すことができません。
【物撮り.jpの独自技術】「リムライト」で輪郭を浮かび上がらせる
この「黒潰れ」問題を解決するために、私たち「物撮り.jp」では「リムライト」と呼ばれる専門技術を必ず使用します。
これは、商品を照らすメインの光(キーライト)とは別に、もう一灯、非常に弱い光を商品の「輪郭」にだけ当てる技術です。主に商品の斜め後ろから、肩のラインや袖の端を狙って当てます。
効果: 商品の輪郭が背景からフワッと浮かび上がり、シルエットが明確になります。
メリット: メインの光で商品のディテールを描写しつつ、リムライトで全体の形状をはっきりさせることで、「黒いカタマリ」ではなく「デザイン性のある黒い服」として認識させることができます。
これは、1灯の照明や自然光だけでは極めて難しい、プロスタジオならではのライティング技術です。もしご自身で撮影される場合は、せめてカメラの「露出補正」をプラス(+1.0など)に設定し、意図的に通常より明るく撮影することを強く推奨します。
ポイント3:購入後の安心感を高める「レタッチ(色調整)」
撮影と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、最後の仕上げである「レタッチ(画像編集)」です。
「見たままの色」を忠実に再現する重要性
特にアパレルECにおいて、クレームや返品の最大の原因は「思っていた色と違った」という色の問題です。
秋冬物は、ボルドー、モスグリーン、キャメルなど、繊細な中間色が多用されます。これらの色が、撮影時の光の加減やカメラの癖で、実物よりも鮮やかすぎたり、逆にくすんで見えたりすることが頻繁に起こります。
私たちプロは、撮影時に必ず「カラーチャート(標準的な色見本)」を一緒に写し込み、編集ソフトでその基準色と比較しながら、商品の「見たままの色」を忠実に再現する作業(カラーマネジメント)を行います。
温かみを足しつつ、「白」は「白」として見せる高度な調整
難しいのは、ポイント1で解説した「温かみ(色温度の調整)」と、「色の正確性」を両立させることです。
写真全体を温かく(黄色っぽく)調整すると、もし商品に「白いボタン」や「白いロゴ」があった場合、それも一緒に黄色っぽく(クリーム色に)なってしまいます。これでは「元々クリーム色のボタンだ」と誤解を与えかねません。
プロのレタッチでは、商品本体の素材感や温かみは演出しつつ、白であるべき部分(背景の白、付属品の白)はキッチリと「純粋な白」に補正するという、非常に高度な色調整を行います。この地道な作業が、最終的な商品の信頼性と売上に直結するのです。
まとめ:秋冬の商品写真は「情報量」が命



秋冬の商品写真で売上を伸ばすためのポイントをまとめます。
- 光の色(色温度): 夏の青白い光ではなく、少し黄色みがかった「温かい光」を演出し、心地よさを伝える。
- ライティング(質感): 正面からの光(順光)を避け、横や斜め後ろからの光(サイド光・半逆光)で「影」を作り、ニットやウールの素材感を際立たせる。
- 暗い色の攻略(黒潰れ): 暗い商品は「黒いカタマリ」になりがち。露出を上げ、可能なら輪郭に光を当ててディテールを救出する。
- スタイリングとレタッチ(世界観と信頼性): さりげない小物で季節感を演出し、レタッチで「実物通りの正確な色」を忠実に再現する。
これらのポイントに共通するのは、いかに「触れない」ハンデを克服し、写真に「温かそう」「柔らかそう」という触覚的な情報を多く盛り込むか、ということです。
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- 低コスト: 1カット550円(1商品4カットの撮影プランで2200円)からという明瞭会計。
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秋冬商戦は、写真のクオリティがECサイトの売上を最も左右する季節です。
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