プロが解説!商品撮影の依頼をスムーズに進める事前準備の全手順

2022.1.28
プロが解説!商品撮影の依頼をスムーズに進める事前準備の全手順

商品撮影を依頼するなら「撮影指示書」の準備が成功の鍵

商品撮影を依頼するなら「撮影指示書」の準備が成功の鍵

商品撮影の依頼をスムーズに進め、期待通りの写真を確実に手に入れるための最も重要な事前準備は、「撮影指示書」を明確に作成することです。

撮影指示書とは、どの商品を、どの角度から、どんな雰囲気で撮影してほしいかを具体的に伝えるための設計図です。

「お任せでカッコよくお願いします」というご依頼も頂きますが、お客様の頭の中にある「カッコいい」と、カメラマンが考える「カッコいい」が必ずしも一致するとは限りません。

この認識のズレを防ぎ、手戻りや追加費用を発生させないために、事前の準備が不可欠となります。

この記事では、年間数万カットの商品撮影を手がける「物撮り.jp」のプロフォトグラファー篠原が、失敗しないための事前準備の具体的な手順と、その理由をプロの視点から徹底的に解説します。

なぜ商品撮影に事前準備が不可欠なのか?

なぜ商品撮影に事前準備が不可欠なのか?

撮影を依頼する側にとって、事前準備は少し手間に感じるかもしれません。

しかし、このひと手間が最終的な写真のクオリティを大きく左右し、結果的に時間とコストの節約に繋がります。

  • イメージのズレを防ぎ、撮り直しをなくす:事前の準備で仕上がりのイメージを共有できていれば、「思った写真と違う」といった事態を防げます。撮り直しは追加の費用と時間がかかるため、双方にとって大きな損失です。
  • 撮影がスムーズに進み、納期が早まる:カメラマンは、事前に指示が明確であれば、ライティングやセッティングを効率的に組むことができます。これにより撮影時間が短縮され、写真データの納品も早まります。私たち「Butsudori.jp」が商品到着から最短3営業日というスピーディーな納品を実現できるのも、お客様のスムーズな事前準備があってこそです。
  • 商品の魅力を最大限に引き出せる:商品のどこが一番のセールスポイントなのかを一番理解しているのは、依頼主であるお客様ご自身です。その「推しポイント」を事前に伝えていただくことで、私たちはその魅力が最も伝わる光の当て方や構図を狙って撮影できます。

以前、ある化粧品メーカー様からご依頼いただいた際、事前に「この美容液の『とろみ感』を表現してほしい」という具体的なご要望と参考写真をいただきました。

おかげで、私たちはテクスチャを際立たせるための専用ライティングを事前に準備でき、一回の撮影でご満足いただけるシズル感あふれる写真を納品できました。

これが「お任せで」というご依頼だったら、おそらく数パターンの撮影が必要になり、納期も延びていたでしょう。

【完全ガイド】撮影依頼前に必ず準備すべき5つのこと

【完全ガイド】撮影依頼前に必ず準備すべき5つのこと

では、具体的に何を準備すればよいのでしょうか。

ここでは、私たちがお客様にいつもお願いしている5つの必須項目を、リスト形式でご紹介します。

1. 撮影リストとカット構成の決定

まず、「どの商品」を「何カット」撮影するのかをリストアップします。特にECサイト用の写真は、必要なカットの型がある程度決まっています。

  • メイン写真(白背景):商品の全体像がわかる、最も基本となる写真です。Amazonや楽天などのプラットフォームでは白背景が推奨されています。
  • ディテール写真:素材の質感、ロゴ、特徴的なパーツなどをアップで撮影します。商品のこだわりを伝える重要なカットです。
  • 使用イメージ写真:実際に商品を使っているシーンや、他の物と並べてサイズ感がわかるような写真です。
  • パッケージ写真:箱や付属品も商品の一部です。ギフト需要がある商品などは特に重要になります。
  • バリエーション写真:色違いやサイズ違いがある場合に、並べて撮影します。

私たち「物撮り.jp」のスタンダードプラン(1商品4カット ¥2,200)をご利用のお客様の多くは、「メイン写真1枚、ディテール写真2枚、使用イメージ1枚」といった形でご依頼いただいています。

このように事前にカット構成を決めておくと、見積もりもスムーズです。

2. 参考写真(イメージの共有)

言葉だけでイメージを伝えるのは非常に困難です。

「明るく、さわやかな感じで」と言われても、その度合いは人それぞれです。そこで役立つのが参考写真です。

  • 理想の参考写真:競合他社のサイトや、Pinterest、Instagramなどで見つけた「こんな風に撮ってほしい」という写真を集めましょう。全体の雰囲気、光の当たり方、構図など、何が気に入っているのかを書き添えると、よりイメージが伝わります。
  • NGな参考写真:意外と重要なのが、「こういう写真は避けたい」というNG例です。以前、あるアパレル企業様から「他社製品のこの写真のような、テカテカした光沢感は出したくない」とNG参考写真をいただきました。おかげで、私たちは光を柔らかく回すライティングを選択し、理想通りのマットで上品な質感の写真を仕上げることができました。

3. 商品の準備と送付

撮影する商品そのものの準備も、クオリティを左右する重要なステップです。

  • 商品のクリーニング:商品は可能な限り綺麗な状態でお送りください。指紋、ホコリ、傷などは写真に鮮明に写り込みます。もちろん弊社でも撮影直前にクリーニングを行いますが、特殊な素材や取り扱いに注意が必要なものは、お客様側でベストな状態にしていただくのが理想です。
  • 付属品の同梱:組み立てが必要な商品や、撮影時に一緒に写したい小物(例えば、PCと一緒に写すマウスなど)があれば忘れずに同梱してください。
  • 破損しない梱包:配送中に商品が破損してしまっては元も子もありません。緩衝材を十分に入れるなど、丁寧な梱包をお願いします。
  • 取扱説明書:特にデリケートな素材や、特殊な組み立て方が必要な商品の場合、簡単な取扱説明書や注意書きを添えていただけると非常に助かります。過去に、革製品の拭き方に関する指示がなく、弊社で良かれと思って使ったクリーナーでわずかに風合いを損ねてしまった苦い経験があります。それ以来、私たちは必ずお客様に素材の注意点を確認させていただいています。

4. アピールポイントとNG箇所の伝達

商品の「ここを見てほしい!」というアピールポイントと、「ここは見せたくない」というNG箇所を明確に伝えましょう。

アピールポイントの例

  • 「この万年筆は、ペン先の刻印が一番のこだわりです」
  • 「バッグのステッチの丁寧さを見せたいです」
  • 「このグラスは、飲み口の薄さが特徴です」

NG箇所の例

  • 「商品の裏側にある型番やシリアルナンバーは写さないでください」
  • 「この面のこの傷は、レタッチで消してほしいです」

これらの情報は、カメラマンがどこにピントを合わせ、どの角度から光を当てるべきかを判断する上で、極めて重要な手がかりとなります。

5. 撮影指示書の作成

最後に、上記1〜4の内容を1つのドキュメントにまとめます。

これが「撮影指示書」です。

決まったフォーマットはありませんが、以下のような形式が分かりやすいでしょう。

  • PowerPointやGoogleスライド:1枚のスライドに1カット分の情報をまとめる形式です。左側に参考写真や商品の見本写真を貼り、右側に「この角度から、明るい雰囲気で撮影してください」「ロゴがはっきり見えるように」といったテキストで指示を書き込みます。これが最も確実で分かりやすい方法です。
  • WordやExcel:商品リストに、カットごとの要望を文章で書き加えていく形式です。

初めてで作成が難しいというお客様のために、「物撮り.jp」では独自の撮影指示書テンプレートをご用意しています。

これに沿って記入いただくだけで、誰でも簡単に的確な指示が出せるようになっていますので、お気軽にお申し付けください。

【プロの視点】事前準備が撮影クオリティを左右する本当の理由

【プロの視点】事前準備が撮影クオリティを左右する本当の理由

なぜ、私たちプロのカメラマンがこれほどまでに事前準備を重視するのか。

それは、準備の質が撮影の「効率」と「精度」に直結するからです。

ライティングの最適化

商品の質感や求める雰囲気に合わせて、光の作り方(ライティング)は全く異なります。

例えば、宝石の輝きを出すライティングと、ふわふわのタオルの柔らかさを出すライティングは、使う機材も光の当てる角度も正反対です。

事前情報があれば、私たちは撮影が始まる前に最適なライティングを組んでおくことができます。

これにより、撮影現場で試行錯誤する時間がなくなり、よりクオリティの高い画作りそのものに集中できるのです。

効率的な撮影フロー

撮影指示書があれば、「まず白背景のカットを全て撮り切る」「次に俯瞰(真上からのアングル)のカットをまとめて撮る」といったように、最も効率的な撮影の段取りできます。

カメラや照明のセッティングを何度も変更するのは、時間のロスと撮影ミスのもとです。

効率的なフローは、撮影時間の短縮、ひいては低価格でのサービス提供に繋がります。「物撮り.jp」1カット¥550という価格も、こうした効率化の積み重ねによって実現しています。

編集(レタッチ)の精度向上

商品写真の仕上げには、編集(レタッチ)作業がせません。

ホコリの除去や色味の調整などを行いますが、このとき「どこまで手を入れるべきか」の判断基準が事前準備で明確になります。

「この部分の傷は商品の味なので残してほしい」「背景の色は、このカラーコード(#FFFFFF)に完全に統一してほしい」といった具体的な指示があれば、編集作業の精度とスピードが格段に向上します。

まとめ:スムーズな撮影依頼で、売上につながる商品写真を

商品撮影の依頼を成功させる秘訣は、高度な撮影テクニック以前に、いかに的確な「事前準備」ができるかにかかっています。

  • 撮影リストとカット構成を決める
  • 参考写真でイメージを共有する
  • 商品をベストな状態で準備する
  • アピールポイントとNG箇所を伝える
  • それらを「撮影指示書」にまとめる

この5つのステップを実践するだけで、撮影は驚くほどスムーズに進み、あなたの商品の魅力を最大限に引き出した、売上につながる写真を手に入れることができるでしょう。

私たち「物撮り.jp」では、全国どこからでも郵送でご依頼いただける商品撮影サービスを提供しています。

1商品からでもご依頼可能で、初めての方でも安心してご利用いただけるよう、撮影指示書の作成から丁寧にサポートさせていただきます。

事前準備についてご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。あなたのビジネスの成功を、最高の写真で応援します。

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