【プロカメラマンが解説】商品撮影に最適なカメラメーカーは?主要5社を徹底比較!

2022.1.5
【プロカメラマンが解説】商品撮影に最適なカメラメーカーは?主要5社を徹底比較!

商品撮影に最適なカメラメーカーは、結論から言うと「SONY、Canon、Nikon、FUJIFILM、Panasonicといった主要メーカー製であれば、どれを選んでもプロレベルの撮影は可能」です。

現代のデジタルカメラは性能が非常に高く、メーカー間の画質の差はごくわずかです。(細かく言えば、それぞれのカメラメーカーが設定しているこだわりの「色表現」はあります。)

実は、商品写真のクオリティを左右する本当の要素は、カメラ本体のメーカーではなく「レンズ」「ライティング(照明)」「撮影スキル」の3要素です。

しかし、各メーカーにはそれぞれ特徴や思想があり、操作性や色作り、レンズのラインナップに違いがあるのも事実です。

この記事では、商品撮影サービス「物撮り.jp」を運営するプロのフォトグラファーとして活動している私篠原が、それぞれのメーカーの強みと商品撮影における適性を徹底解説します。

なぜカメラメーカー選びが「最重要ではない」のか?

多くの方が「良い写真を撮るには、まず良いカメラを」と考えがちですが、プロカメラマンの現場ではカメラ本体は「記録を残すための替えのきくツール」と捉えることも多くあります。

商品撮影で本当に重要なのは、以下の3点です。

  • レンズの性能 商品のディテールをシャープに写し、歪みのない正確な形を捉えるためには、カメラボディよりもレンズの性能が重要です。特に、小さな商品を大きく写すための「マクロレンズ」は、商品撮影の必須アイテムと言えます。
  • ライティング(照明) 写真のクオリティの9割は光で決まると言っても過言ではありません。商品の質感、形、色を正確に、そして魅力的に見せるための照明技術が最も重要です。私たち「物撮り.jp」のスタジオでも、複数の大型ストロボを使い、商品に合わせてミリ単位で光の角度や強さを調整しています。
    高価なカメラを使っても、部屋の照明だけでは商品の魅力は引き出すことはできません。
  • 撮影の知識と設定 絞り(F値)でピントの合う範囲をコントロールし、商品のどこまでをシャープに見せるか。
    シャッタースピードでブレを防ぎ、ISO感度で画質を維持する。こうした基本的なカメラ設定や、商品を魅力的に見せる構図の知識がなければ、どんな機材を使っても良い写真は撮れません。

これらの理由から、メーカー選びに過度に悩むよりも、レンズや照明に予算をかけ、撮影の基本を学ぶ方が、写真のクオリティは劇的に向上します。

【プロの視点】主要カメラメーカー5社の特徴と商品撮影での適性

プロカメラマンに求められるカメラスペックとは

カメラメーカーが最重要ではないとはいえ、それぞれに無視できない個性があります。

ここでは、プロカメラマンの視点から各メーカーの特徴を解説します。

Canon (キヤノン) - 信頼の色再現と直感的な操作性

Canonのカメラ写真

Canon(キャノン)製のプロ機材の特徴をご紹介させて頂きます。

キヤノンは、長年カメラ業界を牽引してきたトップメーカーであり、特に「色」に定評があります

 

  • Canonの特徴
  • 美しい色再現: 特に人物の肌の色の再現性が高く評価されていますが、商品の色も鮮やかで記憶色に近い自然な色味で表現してくれます。「撮って出し(撮影したままのデータ)」の色も綺麗なので、編集の手間を減らしたい場合に有利です。(コントラストを高めに設定することがプロカメラマンのおすすめポイントです。)
  • 直感的なメニューと操作性: メニュー構成が分かりやすく、初心者でも扱いやすいと評判です。長年培われてきた操作性の良さは、撮影に集中させてくれます。
  • 高品質なRFレンズ: ミラーレス用のRFレンズは、非常にシャープで優れた描写性能を誇るレンズが揃っています。
  • 「物撮り.jp」での活用例: アパレルブランドのECサイト用写真や、化粧品の撮影でよく使用します。特にコスメの色味を正確に、かつ魅力的に見せたい場合、キヤノンのカメラは非常に信頼性が高いです。JPEGで撮影した際の色味が安定しているため、数百点に及ぶ大量の商品を撮影する際の作業効率が格段に上がります。
  • こんな方におすすめ
    • 色補正などの編集作業をなるべく減らしたい方
    • 機械の操作が苦手で、直感的に使えるカメラが欲しい方
    • アパレルやコスメ、食品など「色」が重要な商品を扱う方

最初の写真機材としては1番お勧めできるカメラメーカーです。

Nikon (ニコン) - 堅牢性と伝統の光学技術

Nikonのカメラ写真

Nikon(ニコン)製のプロ機材の特徴をご紹介させて頂きます。

ニコンは、その堅牢な作りと信頼性、そして長年の歴史に裏打ちされた優れた光学技術でプロから絶大な支持を得ています。

  • Nikonの強み
    • プロ仕様の堅牢性: ボディの作りが非常にしっかりしており、過酷な環境でも安心して使える信頼性があります。スタジオ内での撮影がメインの商品撮影でも、この安心感は大きいです。
    • 自然で忠実な描写: 見たままの光景を忠実に写し取るような、自然でシャープな描写が特徴です。誇張のない素直な画作りは、レタッチのベースとして非常に扱いやすいです。
    • 優れたグリップと操作性: 手に馴染むグリップ感や、考え抜かれたボタン配置など、撮影者が意のままに操れる操作性の高さが魅力です。
  • 「物撮り.jp」での独自ノウハウ: ニコンのカメラは、PCと接続して撮影する「テザー撮影」のソフトウェアが非常に安定している印象があります。私たち「Butsudori.jp」では、撮影した画像をリアルタイムでPCの大画面に表示し、ピントや光の状態を即座に確認しながら撮影を進めます。このワークフローにおいて、ニコンのシステムの安定性は、撮影ミスを防ぎ、作業効率を上げる上で欠かせない要素です。
  • こんな方におすすめ:
    • 長期間にわたって安心して使える、信頼性の高いカメラを求める方
    • 誇張のない、素材のありのままを写したい方
    • カメラを「道具」として、しっかりと使い込みたい方

SONY (ソニー) - 業界をリードする高画素とAF性能

SONYのカメラ写真

SONY(ソニー)製のプロ機材の特徴をご紹介させて頂きます。

ソニーは、ミラーレスカメラ市場の先駆者であり、特にセンサー技術に定評があります。

  • SONYの強み:
    • 圧倒的な高画素: 「α7R」シリーズはSONYを代表する高画素モデルです。宝飾品や精密機器の微細なディテールまで驚くほど鮮明に写し出すことが可能です。
    • 優れたAF(オートフォーカス)性能: 人物の瞳を自動で追尾する「リアルタイム瞳AF」は有名ですが、静物撮影でもピント合わせが非常に高速かつ正確です。
    • 豊富なサードパーティ製レンズ: 純正レンズだけでなく、SigmaやTamronといったレンズメーカーから高性能でコストパフォーマンスの高いレンズが多数発売されており、選択肢が非常に広いです。
  • 「物撮り.jp」での活用例: Webサイトのメインビジュアルやポスター印刷など、画像を大きく引き伸ばして使用する可能性がある案件では、ソニーのα7R IV(6100万画素)を指名されて使うことがあります。以前、腕時計の撮影で文字盤の微細なヘアライン仕上げを表現する必要があった際、この高画素機のおかげでクライアントに大変満足いただけました。トリミング(画像の切り出し)への耐性が非常に高く画素数が多いからできる編集方法も魅力の一つです。
  • こんな方におすすめ:
    • 商品の質感を細部までこだわりたい方
    • 撮影後に画像を大幅にトリミングする可能性がある方
    • コストを抑えつつ高性能なレンズを揃えたい方

FUJIFILM (富士フイルム) - 唯一無二の色表現「フィルムシミュレーション」

FUJIFILMのカメラ写真

富士フイルムは、長年のフィルム開発で培った色再現技術を活かした「フィルムシミュレーション」が最大の特徴です。

  • FUJIFILMの強み:
    • フィルムシミュレーション: 「Velvia」の鮮やかな発色や、「PROVIA」の標準的な色合い、「ASTIA」の柔らかな表現など、多彩な色のプリセットを選ぶだけで、雰囲気のある写真が撮れます。
    • 優れたデザイン性: クラシカルで美しいデザインのカメラが多く、所有する喜びを感じさせてくれることからプロのカメラマンがプライベートカメラとして利用されることも多いカメラメーカーです。
    • 中判デジタルGFXシステム: 一般的なフルサイズセンサーよりもさらに大きな「中判センサー」を搭載したGFXシリーズは、次元の違う解像感と立体感を実現し、最高品質を求めるプロに選ばれています。
  • 「物撮り.jp」での活用例: 特定のブランドイメージや世界観を写真で表現したいというご要望があった際に、フィルムシミュレーションを活用することがあります。例えば、ハンドメイドの革製品を撮影した際、「クラシッククローム」というモードを使い、少し落ち着いた渋い色調に仕上げることで、製品の持つ温かみや歴史感を演出し、クライアントから高い評価をいただきました。編集に頼らずとも、撮影段階で完成イメージに近づける強力な武器になります。
  • こんな方におすすめ:
    • 写真でブランドの独自の世界観を表現したい方
    • 撮影後の編集は最小限に、カメラ内で色を完成させたい方
    • 最高峰の画質を求める方(GFXシステム)

Panasonic (パナソニック) - 動画性能と優れた操作性

パナソニックは、動画性能で非常に高い評価を得ているメーカーですが、静止画の性能も非常に高く、ユニークな強みを持っています。

  • 強み:
    • 優れた動画機能: 写真だけでなく、商品のプロモーション動画も撮影したい場合に、非常に強力な選択肢となります。
    • 多彩なレンズ群(マイクロフォーサーズ): オリンパス(現OMデジタルソリューションズ)と共通規格の「マイクロフォーサーズ」は、小型・軽量で高性能なレンズが非常に豊富です。
    • 被写界深度の深さ: マイクロフォーサーズ機は、同じ画角とF値で撮影した場合、フルサイズ機よりもピントの合う範囲(被写界深度)が深くなりカメラ自体も小型となります。これは、手前から奥まで全体にピントを合わせたい商品撮影において、有利に働くことができフットワークの軽い使いやすいカメラということです。
  • 「物撮り.jp」での活用例: 複数の商品を並べて撮影する集合写真や、奥行きのある雑貨の撮影などで、マイクロフォーサーズ機の「深い被写界深度」が役立つことがあります。絞り込みすぎると画質が低下する「回折現象」を避けつつ、商品全体にピントを合わせやすいのは明確なメリットです。
  • こんな方におすすめ:
    • 静止画だけでなく、高品位な動画も撮影したい方
    • 小型・軽量なシステムを組みたい方
    • 商品全体にしっかりとピントを合わせたい撮影が多い方

結論:結局、どのメーカーのカメラを選ぶべきか?

商品撮影にお勧めなメーカーは?

冒頭の繰り返しになりますが、どのメーカーを選んでも高品質な商品撮影は可能です。その上で、あえて選ぶ基準を挙げるなら以下のようになります。

  • 最高の解像度を求めるなら: SONY (α7Rシリーズ) or Nikon (Z7/Z8など)
  • 色再現と使いやすさを重視するなら: Canon
  • 写真で独特の世界観を表現したいなら: FUJIFILM
  • 動画も重視し、コンパクトさを求めるなら: Panasonic

最も重要なのは、実際にカメラ専門店などで実機に触れてみることです。

グリップの握りやすさ、ボタンの配置、メニュー画面の見やすさなど、スペック表だけでは分からない「フィーリング」が、最終的にそのカメラを長く使い続けられるかどうかを左右します。

まとめ

商品撮影におけるカメラメーカー選びは、最重要課題ではありません。本当に大切なのは、レンズ、ライティング、そして撮影の知識です。

どのメーカーのカメラも、これらの要素が揃って初めてその真価を発揮します。

もし、「機材選びや撮影技術の習得は大変そうだ」「手っ取り早くプロ品質の写真が欲しい」と感じたら、私たちのような専門サービスに頼るのも賢い選択です。

私たち「物撮り.jp」は、1カット550円(税込)というリーズナブルな価格で、プロクオリティの商品撮影を全国から承っています。

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